地域活動紹介

最新情報

2014年度
2月18日
山口県地域消費者団体連絡協議会
2月5日
にいはまエネルギー・環境クラブ
1月31日
平成26年度メンバー勉強会
1月12日
中部エナジー探検隊
12月13日
NPO法人WARP-LEE NET
12月9日
エネフィーメール21
12月4日・5日
くらしとエネルギーを考える西日本女性ネットワーク会議
11月26日
松江エネルギー研究会
11月22日
環境とエネルギーを考えるとやま女性の会
11月20日
NPO法人WARP-LEE NET
11月7日・8日
NPO法人あすかエネルギーフォーラム
10月26日
環境とエネルギーを考える消費者の会
10月24日
えひめ消費生活センター友の会
10月24日
Thinkオーレ!
10月19日・20日
新潟婦人連盟
10月10日
とかち・くらし塾
9月26日
石川エネの会 かが
9月25日
石川エネの会 のと
9月22日
新潟大学工学部化学システム工学科
9月16日・17日
くらしをみつめる…柏桃の輪
9月10日
石川エネの会 かなざわ
8月28日
青森県地域婦人団体連合会
8月23日
えひめエネルギーの会
7月30日
NPO法人WARP-LEE NET
6月20日
食のコミュニケーション円卓会議
6月5日
フレンズQクラブ(Qクラブ同窓会)
5月23日
NPO法人あすかエネルギーフォーラム
4月23日
平成26年度メンバー会議
4月20日
くらしをみつめる…柏桃の輪
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中部エナジー探検隊

《日 時》
2015年1月12日(月) 13:30〜16:00
《会 場》
ウィルあいち(愛知県女性総合センター)大会議室
(名古屋市東区上竪杉町1番地)
《テーマ》
「宇宙からみた人のいとなみ・地球のあした」

私たちは日常生活の中で、世界の中の日本、あるいは宇宙の中の地球という視点で物事を考えたり議論する機会はそれほど多くありません。宇宙を専門とする天文学者という立場から、宇宙という大きな視点で見た地球や人のいとなみはどのように見えるのでしょうか。環境問題、エネルギー問題などを考える新たなヒントを探るため、阪本成一氏(国立天文台チリ観測所教授)にお話を伺いました。

講演「宇宙からみた人のいとなみ・地球のあした」地球環境を宇宙から見守り続ける観測衛星

子どもの頃、東京の夜空を見上げて星が美しいと思ったことは一度もありませんでした。当時、光化学スモッグによって、ごく明るい惑星しか見えなかったからです。今では行政も民間も環境対策をするようになり、星がきれいに見えるようになってきています。一方、新興国では環境問題が大きな課題になっていますが、特定の地域だけではなく、国境を越えて考えなければならないのが地球環境だといえます。

空、海、陸でつながっている地球全体を宇宙から見渡すためには、人工衛星の存在が重要になってきます。地球の上空を周回している人工衛星は、昼間は光、夜は電波を使った一つのセンサーによって、同じ場所を高頻度で監視するため、地球上のいろいろな変化を継続的に把握することができます。2013年5月に打ち上げられた陸域観測技術衛星の「だいち2号」は、地震、火山噴火、豪雨や洪水など、天災による被害状況の変化を広範囲に観察し、発生前後を比較することができます。また天災のみならず、広大なアマゾン奥地でひそかに行われている違法な森林伐採を宇宙から監視することもでき、レンジャー部隊をピンポイントで派遣し調査すれば、地球環境保護にもつなげることができます。

地球環境の監視には、大気中の水分の観測も有効ですが、これまでは各国が個別に観測をしていたためデータが異なり、地球全体で集約した研究が困難でした。しかし、2014年2月にアメリカと協力して打ち上げた全球降水観測(GPM)主衛星では、これまで観測できなかった小雨から豪雨までを観測し、雨雲をスキャンするように、雲の中の雨滴や雪・氷粒子の大きさなど詳細な情報を取得できるようになりました。この衛星が一つの物差しになり、他の衛星の尺度を修正し、すべての衛星のデータを結合させてネットワーク化すれば、地球全体の環境をより明確に把握することができます。また、各国の衛星が同じ場所を順番に観測する、地球観測衛星隊列(A-Train)という方法ならば、地球環境を精密検査できるようにもなります。日本の水循環変動観測衛星「しずく」も参加していますが、大気のみならず表面海水温を計測できるため、黒潮の蛇行具合がわかり、魚群の位置を追うことができます。その結果、計画的な漁業によって魚の大量捕獲がなくなり、食料資源の枯渇を防ぐためにも有効です。また南米ペルー沖の太平洋の海面水温が平年に比べて高い状態が1年ほど続くエルニーニョ現象や、逆に平年より低い状態が続くラニーニャ現象は、日本のみならず世界に異常気象を起こすため、海水温の計測は地球規模で気候の長期予測にもつなげられます。

温暖化の原因と言われている温室効果ガスの地上観測は、日本では数多くの地点で行われ、また先進国でも集中的に行われていますが、地球全体では観測地点が少ないこと、海洋での測定はほとんどなく、観測器の感度のばらつきも多いといった問題が多いため、宇宙からの測定がより効果的です。日本は政策の中で地球環境調査の取り組みを重要な柱と位置づけており、2009年に打ち上げられた、温室効果ガス測定衛星「いぶき」によってすでに行われている試みに加え、2015年度には、長期にわたり気候変動観測ができる新たな観測衛星の打ち上げも予定されています。


宇宙を知ることでわかる、生命の星=地球の奇跡

私たちの住んでいる地球は、他の星と比べてどのように違うのでしょうか? 太陽系は、太陽を中心星として、中心付近に岩石質の惑星、外縁部にガス質の巨大惑星があり、惑星の公転軌道はほぼ同一平面で、ほぼ円になっています。銀河系には2,000億個近く星があると言われていますが、太陽系以外でも1,200個程度の惑星が発見され、実は、太陽系のように中心星が一つというのは珍しいこともわかりました。


私たちは太陽からエネルギーを受け取り、昼は太陽の光で暖かく、太陽光発電もできます。太陽に近く、水分が蒸発し、残った石や金属がコアになって作られたのが、地球、水星、金星、火星という地球型惑星です。太陽から遠くなると、重いガス成分を引きつけた木星と土星は巨大ガス惑星、光が乏しく凍った天王星と海王星は巨大氷惑星になります。このように、太陽からの距離などにより、惑星本体の性質が決まってくるわけです。

惑星探査の目的は、対象の星のみを研究するためではなく、地球の過去の姿を知る手がかりになるからです。2003年に打ち上げられ2010年に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」は、地球の起源を調査するための衛星であり、同じく運用が終了した月周回衛星「かぐや」は地球の進化を調べるため、運用中の金星探査機「あかつき」は地球の大気を調べるため、金星や火星、木星などを遠隔観測する「ひさき」は地球の磁場の役割を調べるためというように、それぞれの役割を担っています。

これまでに地球に似ている惑星も発見されていますが、人間が生きていける条件を備えている、もう一つの「地球」は見つかっていません。太陽のような星を中心として、地球と同程度の距離の惑星であれば生命存在に適しているものの、惑星が軽すぎれば引力が弱いので大気をつなぎとめられず、月のような死の世界になってしまいますし、中心の星が明るすぎると生命が進化する前に星が寿命を迎えてしまいます。誕生初期には地球と似ていた星がどのようにして変化したのかを調べることによって、地球は微妙なバランスを保った惑星で、生命にとって卓越した条件を満たしているということがわかるのです。


宇宙開発によって、未来の地球のあるべき姿を再認識

有人の宇宙開発も行われており、その研究拠点となっているのが、国際宇宙ステーションです。アメリカ、ロシア、日本など15カ国が協力して運用し、1998年に軌道上で組み立てを開始、2011年に完成しました。地上から約400km上空を約90分で地球を周回し、大きさは約109m×約73mと、サッカー場とほぼ同じ大きさ、重量は420トンあります。これは人類が協力して行った、最大で最高の試みといえるでしょう。


日本人宇宙飛行士はこれまで何人も参加していますが、宇宙飛行士に選ばれる条件は、国家を背負った軍人だったアポロの時代から、実験のスペシャリスト選抜の時代を経て、現在は、長期滞在で共同作業に適した人が選ばれています。民族、宗教、食べ物などが異なる人たちが狭い空間で共同生活をするため、地球上でも発生しているような、エネルギー、感染症、ゴミ処理などといった問題を解決しながら、さらに天文観測、地球観測、物理学、材料工学、医学、生物学など、さまざまなジャンルの数多くの実験をこなしているのが、宇宙飛行士です。

宇宙空間では水が貴重であるため、水を再生して飲料とするという研究は、地上の途上国で汚染水を浄化するシステムとして応用されており、また食料については、食料難や土地の砂漠化といった地球上の問題と重なり、長期にわたる宇宙空間の居住における食料問題が模索されています。現段階では、宇宙空間で生活することは、かなり厳しいということ、そして地球はどれほど水が豊かな星であるかということを、地球から離れた宇宙飛行士がいちばん感じているのだと思います。

宇宙探査技術の発展によって、太陽系外の惑星の発見とともに、地球外生命の存在も研究されています。私たち人類と通信できる可能性のある地球外の文明の数を推測するためには、(銀河系の恒星の数×惑星系を持つ恒星の割合×生命の誕生と進化に適した惑星の数×生命が実際に発生する割合×知的生命になる割合×星間通信できるようになる割合×そのような文明の寿命÷宇宙の年齢)というドレイクの方程式があります。しかし宇宙の年齢に対して、ある程度の長さの文明の寿命がなければ計算式は成立しません。46億年前の地球誕生から、38億年前の生命誕生、500万年前の人類(猿人)出現を経て、長い時間をかけて地球上の文明は進化してきましたが、電気通信発明後から現在に至るまでの100年間には急速な進化を遂げ、殺戮兵器の開発、クローン羊の誕生、細菌の人工合成など、新しい生命を生んでは逆に生命を殺す開発も進みました。だからこそ、文明の使い方を上手にコントロールしなければ、星としての寿命を全うするよりも早く、地球は滅亡してしまうかもしれません。

21世紀は宇宙の時代と言われますが、それは宇宙への脱出を意味するわけではありません。宇宙を知ることで、あらためて地球の素晴らしさを感じ、地球を守っていくべきだと思います。そして月や火星を居住可能な空間にするよりも、地球環境維持の方がはるかに易しいと再認識することで、人類は本当の知的な生命になれるのではないかと考えます。また、協調性のある人が宇宙飛行士に選ばれるのと同じように、「宇宙船地球号」の乗務員72億人は、地球環境を守るのと同時に、協調して仲良く生きていくことも大事です。そして、地球外の世界を知り、地球に対してフィードバックすることこそ、科学者の役目だとも思っているのです。


阪本成一(さかもと せいいち)氏プロフィール

国立天文台チリ観測所教授
1965年東京生まれ。94年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、国立天文台COE研究員を経て、97年に国立天文台助手、2002年に同助教授。専門は電波天文学。07年には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究本部教授に就任。同年10月より総合研究大学院大学物理科学研究科宇宙科学専攻教授を併任後、14年8月から現職。国際協力により運用されている世界最大の電波望遠鏡“ALMA”の中核メンバーを務める。前任のJAXAでは小惑星探査機「はやぶさ」や月周回衛星「かぐや」などの宇宙科学研究所の広報普及を統括した。


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