地域活動紹介

最新情報

2020年度
3月2日
第1回オンライン勉強会
2月24日
石川エネの会 かなざわ
2月16日
福井県女性エネの会
2月10日
2020年度 原子力特別勉強会 ③
2月10日
2020年度 原子力特別勉強会 ②
2月10日
2020年度 原子力特別勉強会 ①
1月15日
岐阜大学・十六銀行産学連携プロジェクト くるるセミナー
12月18日
大阪府立大学
12月10日
2020年度メンバー勉強会②
12月10日
2020年度メンバー勉強会①
12月3日
食のコミュニケーション円卓会議
12月1日
松江エネルギー研究会
11月30日
山口県地域消費者団体連絡協議会
11月21日
のべおか男女共同参画会議21
11月7日
中部エナジー探検隊
11月4日
にいはまエネルギー・環境クラブ
10月29日
フレンズQクラブ
9月18日
NPO法人WARP-LEE NET
9月5日
えひめエネルギーの会
9月4日
NPO法人
あすかエネルギーフォーラム
8月25日
2020年度 メンバー会議 ②
8月25日
2020年度 メンバー会議 ①
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福井県女性エネの会

《日 時》
2021年2月16日(火)13:00〜15:55
《会 場》
福井県生活学習館(ユー・アイふくい)多目的ホール(福井市下六条町14-1)
《テーマ》
近年の異常気象と防災への備え

大雨や大雪など、近年では異常気象による災害が後を絶ちませんが、防災には何をどう備えておけば良いのでしょうか。半井小絵氏(気象予報士)による講演を伺った後、各自の防災への備えについてメンバーによるグループディスカッションの結果をグループごとに発表しました。

講演
近年の異常気象と防災への備え
(小見出し1)
最新の情報を活用して早め早めに行動する

日本は自然災害の多い国です。私は 阪神淡路大震災(1995年1月17日)の被害に遭いました。 当時住んでいた兵庫県伊丹市は震度6強だったのですが、朝5時46分、激しい縦揺れにより空中に身体が浮いた時に目が覚めてゆっくり落ちて行き、ベッドにつかまっていないと振り落とされるぐらいの激しい横揺れでした。 この経験からベッドの周りには背の高い家具を置かず、メガネと履物は吹き飛んで行かない所に備えています。自宅の電気はその日の夜に復旧しましたが、水道は3日後、ガスは1週間後になり、その間は入浴も調理もできず、電気・ガス・水道が当たり前に使えるありがたさを実感しました。日本では台風や大雪などの気象災害も起こります。防災で大切なのは言うまでもなく「備え」です。懐中電灯、水、簡易ガスコンロなどを準備しているか、今日を機会にもう一度確認していただければ幸いです。

私は2011年までの9年間、気象キャスターを務め、うち7年間は「NHKニュース7」という番組を担当していました。それらの経験を通して私が伝えられるのは「情報を活用する大切さ」だと思っています。 気象の場合は地震と違って台風の位置など前もってわかることが多く、最新の情報を確認して防災の準備ができます。さらに昔と比べて情報量もかなり増えています。

私が気象に興味を持ったのは「自然災害は怖い」と教えてくれた祖母の影響です。祖母は室戸台風(1934年)襲来時に京都西陣小学校の5年生で、校舎が倒壊する中奇跡的に助かりましたが、その学校では41名の児童が亡くなりました。当時は気象衛星ひまわりも無く、台風の勢力や位置などがわからなかったのです。日本初の天気予報は明治17年(1884年)6月1日に出されたもので、「全国一般 風ノ向キハ定マリナシ 天気ハ変ワリ易シ 但シ雨天勝チ」というシンプルなものでしたが、今ではテレビ、ラジオ、インターネットなどで地点ごとに細かく情報がわかりますからぜひ活用してください。




自分の家や会社がある地域のリスクを前持って知る

情報は名称を知っているだけで内容を知らないと、被害をイメージできず行動につながりません。現在、自治体が出す避難情報には「避難準備・高齢者等避難開始」→「避難勧告」→「避難指示(緊急)」の3段階があります。障害をお持ちの方や高齢者の方など避難に時間がかかる方には、早めの避難行動が促されます。これは2017年1月に改訂されたものですが、2021年中には「避難準備・高齢者等避難開始」は「高齢者等避難」に名称変更、「避難勧告」は廃止されて「避難指示」とよりわかりやすく改定される予定です。

気象庁の発表する防災気象情報もたくさんあります。例えば「警報」と「情報」です。多くの方は「警報」が一番危ないと思うかもしれませんが、「土砂災害警戒情報」は、すでに「大雨警報」は出ていて、さらに大雨で土砂災害の危険性が高まった時、都道府県と気象庁が共同で市町村単位で発表する「情報」なのです。警報より危険な時に出される情報もあるのです。

近年使われるようになった「警戒レベル」はご存知でしょうか?レベルを数値で示しておりますように、「レベル3(高齢者等は避難)」が出たらご近所のご高齢の方などに声かけして、早めの行動を促してください。「警戒レベル4(全員避難)」には「避難勧告」と「避難指示(緊急)」の両方が入っています。すでに身の回りに危険が迫っているので、速やかに避難先へ避難するなどの避難行動につなげてください。「警戒レベル5」はすでに災害が発生している状況なので、「5が出たら遅い」と認識していただきたいと思います。



日本では毎年のように大雨の被害が起こっています。「令和2年7月豪雨」では日本列島に梅雨前線が横たわり、温かく湿った空気が流れ込み、さらに線状降水帯が発生した場所に大雨が局地的に降って、熊本県の球磨川の氾濫では高齢者施設などで被害が出ました。日本は山が多く、狭めで急勾配の川が多いため、大雨が降ると水かさが急に増えて一気に氾濫しやすいのです。「夜間の大雨」にも注意が必要です。夜間は辺りが暗く、就寝中の場合もあり、行動が制限される上に情報も少なくなるので対応が遅れます。「平成29年九州北部豪雨」では被災地調査に行きましたが、気象の場合は同じ状況であっても前回と同じ場所に被害が出るとは限らず、一方で前回被害に遭ったことから早めに避難して助かったケースもあったことがわかりました。

自然災害から命を守るには、危険な所からできるだけ離れること、早めに情報を確認して行動することが大切です。市町村が出す「ハザードマップ」では、川が氾濫した場合の浸水予想区域が深さごとに色分けされ、家や会社のリスクを前もって確認できます。福井県内にも川底が地面の高さよりも高い位置にある「天井川」があります。福井県の足羽(あすわ)川などにはダムが整備されています。ダム建設には議論もありますが、「令和元年台風第19号」では上流のダムが関東の洪水の被害を防ぐ効果があったとの発表もありました。情報の活用ともにハード整備も命を救うためには大切なことだと思います。




地球温暖化はなぜ気候変動を引き起こすのか

近年、短い時間に激しく雨が降る原因の1つに地球温暖化が挙げられます。気温が高いほど空気中の水蒸気は多く含まれるので、大雨の降るリスクが高まります。前線のどこで大雨が降るのか予想するのは難しく、ましてや小さい雨雲がどこに湧いて大雨を降らせると予想するのは今の精度では非常に難しいと言われています。しかし、すでに発生した雨雲や雪雲のレーダーを利用すれば、いつどこに雨雲、雪雲がかかってくる恐れがあるかは前もってわかるので避難の目安になります。

天気予報で注目していただきたいのは、「大気の状態が不安定」と気象予報士が解説する時には雨雲が発生しやすいことです。 日本海側の雪雲も大気の状態が不安定な時と同じ原因で発生します。冬場の日本海は海水温が10℃位あり、上空に大陸から氷点下の寒気がやって来ると大気が不安定になって雪雲ができ、海からの水蒸気も加わって発達しながら日本に来て雪を降らします。さらに雪が強まる原因に「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)」があります。朝鮮半島に高い山があり、冷たい風が山を回避するように二手に分かれ、風下でぶつかり合って空気が持ち上げられ、雪雲がいつも以上に発達します。これが若狭湾などに入ってきて大雪を降らせることがあります。



地球温暖化が進むと雪は少なくなるのではと思われませんか?地球温暖化により海水温が高くなるほど、上空に冷たい空気がやって来た時に気温差が大きくなり、雪雲が高い所まで持ち上げられて発達し、大雪になる恐れがあります。

どうしても災害は自分には起こらないだろうと他人事になってしまいます。たくさんの情報からご自分に必要な情報の内容と意味を知り、いざその情報が出た時にどう行動するか、日頃からイメージトレーニングをしておいていただきたいと思います。


半井 小絵(なからい さえ)氏プロフィール

気象予報士/女優/NPO法人火山防災推進機構 客員研究員
兵庫県伊丹市出身。2002年よりNHKの関東甲信越地方の気象番組、2004年〜2011年「NHKニュース7」の気象キャスターとして気象情報を担当。2008年、「伊丹大使」に就任。現在は気象や防災などに関する講演活動を行う。2015年から女優としても活動し、2017年、拉致問題啓発舞台劇公演「めぐみへの誓いー奪還―」で田口八重子さん役でデビュー、舞台や映画に出演している。また2019年11月9日開催「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」第1部「奉祝まつり」の総合司会を務める。


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