特集

エネルギー関連施設の見学レポートや各分野でご活躍の方へのインタビューなど、多彩な活動を紹介します

中部地方メンバー懇談会
中部地方に暮らすメンバーたちと考えるエネルギー

ETTでは2020年に迎えた設立30年を機に、神津カンナ代表が各地域を訪問し、メンバーの皆さまとともに地域のエネルギーの歴史や課題などを議論・意見交換する懇談会を実施しています。第10回目は中部地方に暮らす10名のメンバーをお迎えして2024年1月23日に開催しました。



浅野智恵美氏(愛知県豊田市在住)愛知環境カウンセラー協会理事/消費生活アドバイザー
油田 淑子氏(愛知県名古屋市在住)公益社団法人 全国消費生活相談員協会参与/消費生活相談員/シニアライフ・アドバイザー
生田 ふみ氏(愛知県日進市在住)岐阜大学・十六銀行産学連携プロジェクト「くるるセミナー」ディレクター
岩本 敏氏氏(三重県亀山市在住)オフィス・らくだ代表(元・小学館 雑誌『サライ』編集長)
大竹由紀子氏(愛知県名古屋市在住)前総務省行政相談委員/総務省愛知行政相談委員協議会副会長/中部行政相談委員連合協議会監事/中部エナジー探検隊代表
寺田 朝子氏 (静岡県静岡市在住)元雑誌編集長/陶芸作家
橋爪 貴子氏 (三重県津市在住)公益財団法人伊勢文化会議所五十鈴塾部門企画
古澤 法之氏 (愛知県犬山市在住)岐阜大学・十六銀行産学連携プロジェクト「くるるセミナー」ディレクター
水野由布子氏 (愛知県名古屋市在住)一般生活者(元・押し花作家)
吉田 邦子氏(愛知県一宮市在住)消費生活専門相談員

ETTは女性も科学を理解し、視野を広げて学べる場

神津 今日は大勢の皆さまにお集まりいただきありがとうございます。まずは自己紹介とETTに入会されたきっかけからお話しいただけたらと思います。

大竹 1979年に中部電力のモニターとなり、1990年に中部原子力懇談会の「東欧電力事情女性視察団」に参加したことがきっかけでETTに誘われました。ETTは設立当初40名程で著名人の方々が多く主婦は少数でしたが、「エネルギーの知識はゼロでもよい」と言われ、市民の立場で参加しました。

岩本 一昨年からNPO法人のメンバーとして竹林整備の活動に参加しています。ETTは東京で雑誌の編集をやっていた頃に大竹さんからお誘いを受け、入会しました。

橋爪 私も30数年前、原子力の視察に欧州へ行ったことがきっかけで、大竹さんから誘われてETTに入り、その後もずっと大竹さんと行動を共にしています。

浅野 2001年に環境カウンセラーの資格を取り、豊田市の欧州(ドイツ・スイス)エコライフ先進地視察に行きました。私も大竹さんとアドバイザーとしてご一緒してお世話になり、ETTにお誘いいただきました。

生田 愛・地球博記念公園内に開園したジブリパークの麓に住んでいます。愛知県女性総合センターの人材育成事業でご一緒した先輩から、福島県の原子力発電所見学にお誘いを受けたのをきっかけにETTに入会しました。

古澤 ETTにお誘いいただいた生田さんと一緒にシニア世代を対象とした「くるるセミナー」に参画する一方、子供達への環境教育活動に携わっています。さらに太陽光発電パネルを点検する仕事を始めたことがエネルギーの勉強に役立っています。

水野 10年程前、「中部エナジー探検隊」主催で風評被害の話を聞きに行ったことがきっかけで(油田さんに誘われて)ETTに入りました。今は発達障害対応支援員として私立中学校に赴くなど、子供に関わる活動をしています。

吉田 中部電力の原子力モニターとして30名集まり、全国のエネルギー関連施設の見学会や勉強会に参加していました。100名になった1997年に「エネサポくらぶ」ができ、そこで「ETTで勉強してみない?」と言われたのが入会のきっかけです。

寺田 昭和の終わり頃、女性の社会参画を促すための会「女性談話室しずおか」を立ち上げ、そこで、女性ミニコミ誌『パンの耳』という雑誌を発行しました。それがご縁で中部電力からシンポジウムのパネラーの依頼があり、ETTからもお誘いを受けました。私も中部原子力懇談会の「東欧電力事情女性視察団」に参加させていただきエネルギーについて目覚めた一人です。

油田 私はETTの古い会員です。以前は女性だけの消費者団体として原子力に対してネガティブな印象を持っていたのですが、中部原子力懇談会を通してチョルノービリ事故後のヨーロッパの原子力事情の視察に行き、いろいろな方の話を聞くうちにエネルギーの大切さがわかりました。その見学記がETT初代代表・高原さんの目に留まり、入会を誘われました。

神津 皆さまの経緯がよくわかりました。さて、ETTが発足して30年が経ち、その間にエネルギーの捉え方もだいぶ変わってきたように思います。ETTはさまざまな角度から「エネルギーを考えよう」という緩い集まりですが、皆さんはETTの中でどういう活動をしてきたのかなどをお話しいただけますでしょうか。

浅野 2003年、こちらの名古屋東急ホテルでETTのシンポジウムに出席させていただいたのがキックオフです。消費生活研究に携わっている立場から「エネルギー、暮らし、地球環境のつながりは外せない」と思っています。ETTの魅力は全国のメンバーがつながっていることと、Web情報が充実していることです。見学会参加後にWebの見学レポートを読んで復習できますし、リレーエッセイで食品ロスやエネルギー環境教育について書かせていただいたことも勉強になりました。

油田 中部原子力懇談会で欧州に派遣された際、怖いと思っていた原子力の分野で日本人女性が活躍している様子を見て、「これからは女性が科学も理解して社会進出していくことが必要」と思いました。そこで、中部で女性がまとまって勉強できる場をつくりたいと大竹さん達に相談し、2007年に「中部エナジー探検隊」を組織し、大竹さんに代表を務めていただいて今日に至ります。私は原子力については「?」で解決策はまだ持っていません。しかしながら考え続けなければいけないと思っています。

生田 「ものづくりの県」愛知県は女性の登用が顕著ではなかったのですが、国際化と男女共同参画推進のため女性を各国へ派遣する事業を行い、1979年に啓発推進のための「あいち国際交流はなのき会」に参画、環境問題に取り組んできましたが、ETT入会後はドイツ環境スタディーを実施するなどだんだん視野が広くなりました。ETTで学ぶうちに「エネルギーミックス」という指針をいただいたので、今後もこれに向かって活動を続けていきたいです。

岩本 アウトドア雑誌『BE-PAL』の編集長を務め、元々環境問題には関心を持って情報発信していたものの自ら行動するレベルではありませんでした。そんななかETTのメンバーに加えていただき、環境とエネルギーの問題を少しずつ理解しようと努めてきたつもりです。10年前に首都圏から三重県亀山市に移住して自治会活動をするなかで、休耕田に太陽光パネルを設置してよいかといった問題に向き合わざるを得なくなりました。義父から引き継いだ荒れ放題の竹林も何とかしたいと、桑名市にあるNPO法人「桑竹会」に入会し、週2回、竹林整備の活動をしています。高校生から80代まで54名で切った竹で家具や竹炭をつくったり、筍やメンマを出荷したりして売上も上げています。竹を潜在的な国産エネルギーとして皆さんにもぜひ見直していただきたい。

大竹 油田さん、寺田さん、橋爪さん、私の4人は、中部原子力懇談会主催の「女性だけの電力事情視察団」のメンバーです。私は、チョルノービリ事故後の影響を知るためにチェコ・スロバキア、ハンガリー、フランス、イギリス、オーストリアへ行きました。現地の広報担当は女性が多く、広報は女性に向いているという発見と情報発信の大切さを感じました。ETTの活動は、国内外のエネルギー事情を勉強して日頃の生活に活かせる、とてもいい機会です。2007年、全くの主婦が「中部エナジー探検隊」のリーダーになってしまったのですが、生活に直結しているテーマを取り上げ、さまざまな角度からエネルギーにアプローチする活動を16年続けています。愛知・岐阜・三重・静岡・長野といった中部圏で、人と人とのつながりをつくったことが一番大きな成果だったと思っています。

寺田 当時、原子力はトイレなきマンションと言われ、最終処分方法のないまま動かしてはいけない、というのが反対派の主な理由でした。私も手放しでは賛成できないと考えていました。その頃誘われてヨーロッパの視察に行き、フィンランドのオルキルオトの最終処分場を見学しました。そこで、エネルギーの問題は日本だけのことではなく世界の大きな課題なのだということを理解しました。「エネルギーを考えること=全てのことを考えること」という認識を持たせていただいたETTの活動に感謝しています。

橋爪 伊勢の「五十鈴塾」で、日本の文化について学べるさまざまな講座を開催し、ETTで見学会や勉強会に参加した経験から原子力や風力などの話を織り交ぜて話をしています。ETTで「そういう世界や考え方もあったのか」と広く深く知る機会に恵まれ、勉強させていただいてありがたく思っています。

古澤 高校生の頃から興味があった環境保護や環境教育で生計を立てていきたいと思うようになり、2005年の愛・地球博でネイチャーガイドを務めた後、生田さんからシニアの社会参画を目指す「くるるセミナー」のディレクターにと誘っていただきました。今は「暮らしの学校」で年間100日程子供達と森に入り、遊びながら環境問題に取り組む活動をしていますが、知識も必要なのでETTでの勉強会がとても役に立っています。あとは太陽光パネル点検の仕事をするなかで、メガソーラーの是非について自分で答えを見つけてきたいと思っています。

水野 ボランティアの女性団体に入っていました。以前は主婦は家庭のなかにいるものと思っていたのですが、「外に出て視野を広げて学ぶことができるんだ!」と目覚めた延長線上にETTがありました、ETTはさまざまなことが学べる、顔を見ながら大先輩をはじめいろいろな人と話ができるすごく魅力的な場所で、エネルギーに関してこれからも学んでいきたい思っています。

吉田 いろいろな会に属していると、いろいろな考えの人とお話しする機会があります。「北陸の道の駅に放射線を感知する機器があって、赤く光っていたから近寄らないほうがいい」と真面目に話された時には驚きました。私が中部電力で聞いた話をすると「中部電力さんは原子力ありきだからね…」と言う方も多々いらっしゃいますが、ETTで伺ったエネルギーに関する最新情報をお話しするとそれなりに聞いていただけるんだなあとしみじみ感じましたので、ここで勉強させていただけることをうれしく思っています。

自然豊かで温暖で温和、エネルギーの心配はあまりしていない

神津 さて次は、皆さんが地元でどういう活動をしているか、また、地元の方々はエネルギーに対してどういう意識を持っているかをお聞きしたいと思います。

油田 私の活動の中心は「男女の差別をできるだけ平らにしたい」という思いです。以前はどんな事業もエネルギー業界も男中心の世界でしたので、ずーっと「女性がこんな扱い方をされていいのか」と感じてきました。ある企業の研修会では男性達を前に「女を知らずに商売するな!」と話しました。川上にいる男性が、川下にいる女性を知らず事業ができるのかという意味です。夫の転勤で暖かい九州から寒い高山に行った時にオイルショックに遭い、エネルギーの大切さを知りました。また、子供がアレルギーだったので食にも興味を持ち、エネルギーの問題と食の問題とのつながりも感じています。

寺田 女性ミニコミ誌『パンの耳』を続けているうちにスタッフたちが静岡市女性会館の館長になったり大学の先生になったりと、社会的な地位を獲得して活動するようになりました。良い種を蒔いたと思っています。私は一番やりたいことを仕事にしようと陶芸の道を選び、今は陶芸作家として仲間達と楽しんでいます。

吉田 中部電力の「エネサポくらぶ」に入っているほか、消費者団体、男女共同参画の会、読書会、公民館の副館長の活動をしています。一宮市は喫茶店のモーニングが盛んで、会が終わると皆でお茶をしに行くのですが、私が中部電力やETTで学んだことを話題にすると大体半数の方は「原子力反対」、もう半数の方は「日本は資源がないから仕方ないよね」と意見が分かれる感じです。

水野 エネルギーの話は簡単でもないので、雑談で喋れる話題になりにくいのでは…。また、働き盛りの人達はエネルギーを使うことに忙しく、エネルギーがどのようにつくられてどういう状況にあるかには関心を持っていない気がします。「原子力反対」と言う人達に、「ETTでこんな話を聞いたよ」と繰り返し話していったら「反対」という言葉をすぐに使わなくなった経験があるので、やっぱり時間をかけて理解し合う必要があるし、勉強し続けなければいけないとも感じています。

古澤 子供達の環境教育でキャンプをするなかで「マッチ1本からの焚き火」を教えていますが、今の家はほとんどがオール電化なので火でお湯が沸くことを初めて知った子供も多くいます。ですから火力発電のしくみも知らず、日本のエネルギーがどこでどうやってつくられているかもわかっていません。

生田 「ウィルあいち(愛知県女性総合センター)」の年1回のフェスタで企画を任され、ETT地域支援企画で応援していただき6年続きました。神津代表とお母様のメイコさんに、原発やエネルギーという言葉をオブラートに包んで巧みにお話しいただいたこともあります。ディレクターとして関わっている「くるるセミナー」は岐阜大学と十六銀行の連携プロジェクトで、高齢者がアクティブシニアとして社会還元する循環型社会を目指し開講しています。ETTではダイレクトにエネルギーに向き合っていますが、今後は地域啓発でも今日のような少人数だったら歯に衣着せず意見交換したり、学んだことを伝えたりできるのではと考えています。

浅野 「中部電力グループ環境に係る意見交換会」の委員を務め、勉強になる場となっています。また、2020年に「エネルギーミライズ」を立ち上げ、高レベル放射性廃棄物に関する学びを深めています。メンバーは大学生2名を含む、愛知・岐阜・三重の「環境」でつながる仲間です。原子力発電のことをよく知らなかった19歳の大学生から「今度は僕達が新しいグループをつくるのでオブザーバーになってほしい」と依頼されました。2月に東京で開かれる全国交流会で活動報告を行い、彼らが制作した学習紹介動画も流します。情報発信力やフレキシブルな行動力を持つ10代に学びのバトンを渡せたことをうれしく思っています。

橋爪 三重県には風力発電が多く、青山高原をはじめ、伊勢の西周辺でも風力発電が行われています。現在伊勢湾口および南伊勢地方に建設計画が出ていて環境への影響などの調査に入っているようなので注目していきたいと思っています。 新幹線から見ると静岡ではソーラーパネルが増えているようですが、三重でも非常に狭い空き地にもどんどん設置されています。山を削るのではなく、湿地帯の遊休地を活用しているのでまだましかとも思いますが、耐用年数が過ぎたらどうなるのか心配です。しかし三重の人はのんびりしていて、エネルギーに関してもあまり心配していない感じがします。

岩本 野菜は自給自足しています。長い間、首都圏で暮らしていたのですが、首都圏の生活者が思っているエネルギー問題や環境問題が田舎にはほとんどないと感じています。自然のものを自然のまま食べられる環境があり、恵まれているからこそ関心が少ないのだとも言えます。以前、町内の化学工場で事故があり畑の土を埋め替えましたが、自治会長として企業と折衝し、自分自身も畑を持っているので人ごとではありませんでした。そこで自分達が今までいかに貴重な場所に住んでいたかということに気付かされました。

大竹 地元は気候が温暖、性格も温和な方が多く、エネルギー全般についての意識はそれほど高くありません。でも「中部エナジー探検隊」で講演会や勉強会を開くと大好評。施設見学にも関心を持って参加されるので、今後も地道に活動を続けていくことが大切なのではないかと思います。「資源のない日本でエネルギーをじゃぶじゃぶ使っていいの?」というETT初代代表・高原須美子氏の言葉が心に残っています。「そのなかで生活する私たちはどういうことに気をつければいいの?」というテーマがETTの原点だと思います。ETT30年間の初期は「生活者のために何をしたらいいか」考える活動でした。中期は講演会が盛況で、2011年2月には名古屋マリオットアソシアホテルに聴衆が300名余集まり、「原子力ルネッサンス」と言われましたが、福島の事故後はエネルギーについては腫れ物に触るような雰囲気になってしまいました。再生可能エネルギーに関しても、地元の人はそれほどメリット/デメリットを正確に把握していないように思います。

友人や知人、地域、次の世代へと活動をつなげていく

神津 男女共同参画の民間議員を務めた時にも感じたのですが、「絶対賛成とか絶対反対のなかに答えはなく、歩み寄ったなかに初めて答えらしきものがあるかもしれない」というのが私の持論です。そういうふうにETTも進んでいければいいと思っているのですが、皆さんが今後のETTに望むことや思いなどを教えてください。

油田 AかBかではなくCかもしれないというふうに、視点が違えば考え方も違ってくるので、多様な角度から多様な考え方で多様なエネルギーを見る勉強会なら楽しそうだなと思います。

寺田 エネルギー問題は自分の人生よりもずっと長いスパンの問題です。「世代をつないで継続していく」。今まで私達がエネルギーについて考え話し合ったことをアーカイブして次の世代に渡し、そのまた次の世代の活動につなげていく。地域コミュニティーの質を高め人類の叡智につなげていく…、 それが、ETTのテーマ「Energy Think Together」なのではないかと思います。

吉田 以前は意見交換すると原子力に反対する人は1割程度でしたが、福島の事故後は9割位の人が反対へとひっくり返りました。でも電気料金が高くなってくると生活に関わるので「資源がないと原子力も仕方ないな〜」とまた変わってきています。今は反対か賛成でも、その時々の状況に左右されながら意見も変わっていくということを感じています。

水野 エネルギーの問題は地方の問題など本当にいろいろな問題を含んでいるので、世代をつないで皆で勉強しなければいけない、今まで通りの活動では足らなくなっていくだろうなあと考えています。

古澤 「自然もエネルギーも未来からの借り物」というネイティブアメリカンの言葉があります。僕ら大人だけでなく、子供や孫にもつないでいかないといけないと思っています。

生田 「くるるセミナー」で中部電力の「赤煉瓦の長良川水力発電所見学ツアー」に行ったところ、男性の参加者が多く、想像以上によい反応をいただくことができました。現場での講話で、エネルギー問題の現状を熱心に応答、現場で見聞きする説得力はやはりあるのだなと実感しました。

浅野 電気自動車や自動運転の実装は、欧米に比べて日本の周回遅れが気になります。安心安全な暮らしとエネルギーのテーマのなかで、ETTで環境に配慮した持続可能な交通社会についても学んでいきたいと期待しています。

橋爪 エネルギーについて学校教育で教えているのでしょうか? エネルギーは大事なことなので、学校に何か働きかけはできないものかと思ったりしています。

岩本 二酸化炭素を吸収して新たなエネルギーを生み出す素材があることを最近知って興味を持ちました。ちゃんと話が聞けるチャンスがETTであればいいなと思っています。

大竹 ETTに望むことは、原子力発電にこだわらず広い分野でのエネルギーの勉強会を今後も続けていただきたい。私達メンバーはETTで得た知識や情報を友人や知人、地域などに情報発信していくことが大事で、それが結果的に日本のエネルギーについての市民の認識を大きく変えていく力になるのではないかと思います。ETTのキャッチフレーズ「広く、深く、密に」に加え、今日のお話のなかにたくさん出てきた「繋ぐ(つなぐ)」も大事だと感じます。経済産業省への提言を復活したり、県単位のリーダーをつくってブロックごとに内容を醸成したり…、私もアイデアを出しながら今後も学んでいきたいと思っています。

懇談を終えて

お待たせいたしました! 中部の方々。 ETTが発足して30年を記念し、事務局と相談して各地方を巡ろうと企画したのですが、足かけ4年もたってしまいました。新型コロナの流行もあり、私が病に倒れてほぼ一年を棒に振ったので、こんなに遅れてしまって……。申し訳ない! でも、多くの皆さんにお集まりいただき、ありがとうございました。とても実りある懇談会だったと思っています。 ETTに入りエネルギー問題に目覚めたとおっしゃる方がいて、とても嬉しかったです。ETTでは自然エネルギーの数々と共に、原子力やそれに関連する言葉もきちんとメンバーの方の口から出てきて、それもこのETTの、言葉を選ばない、差別的でない、いわばゆるい集まりであることを象徴していると思いました。世の中は自由に発言できるようになってはいます。けれどもある特定の問題に関して、どこか暗黙のうちの「言葉選び」はあって、中部だけでなく各地の皆さんの懇談会に出席していると、この懇談会だから自由に話せるというリラックスした雰囲気を感じます。普段は各自、さまざまな活動をしている皆さん。その中でいわば、束ねの役を仰せつかっている私は、色々なことをこの懇談会の中で学びました。地域でのびのびと皆さんが活動を続けていくためには、ETTはこれからどんな情報や考え方や知識を提供すれば良いのかという宿題をいただきました。そして、私たちの暮らしはすべて「エネルギー」に根ざしています。その根本をきちんと知ることや、日本には色々な地域があり、伝統や歴史が裏打ちされているのだということを学ぶこと。この二つは決して忘れてはいけないETTの背骨だと思います。

神津 カンナ

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