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私はこう思う!

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碧海 酉癸氏 yuki aomi
消費生活アドバイザー/ウイメンズ・エナジー・ネットワーク会員

2月末で私は90歳、一生を振りかえって悔やむことももちろん多々だ。しかし唯一選択が正しかったと自信をもって言えるのは、今から28年前、スウェーデンハウス(以下SWH)という高気密・高断熱の自宅を建てたこと。敷地には、和洋折衷住宅で知られた建築家山田醇(1884-1969)に傾倒した父が、素人なりに設計した実家があった。昭和8年築だが、関東大震災を経験した世代らしく、ほぼ四角形で地震に強く、東西南北に風が抜けるから夏は涼しい。広縁や二重窓があり居室は快適。しかしその頃断熱材はなく、北側の台所や風呂場など東京でも冬はとても寒かった。残念だが取り壊す。

SWHを選んでモデルハウスを見に行き、徹底した断熱の効果、家中すべての木枠三層ガラス窓にまず魅了される。建ててみて床下20cmの断熱材は強力で、床暖房は不要、絨毯なしのフローリングでもまったく寒くない。壁は断熱材12cmのプレハブだが組み立てて屋根を載せれば初期段階は早い。天井には巨大な掃除機風機械で球形の断熱ボールを大量に吹き込む。外形に凝る気はなく、アメリカの西部劇に出てきそうな変哲もない四角形の家だが、初めて迎えた冬の光熱費がなんと60%減になった。1年間では約40%の節約。2階建てなのに暖房器具は1階居間のガスクリーンヒーター1台だけ、暖房は21-22度に設定している。夜寝る時に消すが朝の室温は17-18度あっていわゆるブルっと来ることはない。エアコンは夏だけ冷房に使うが大抵は1台で済む。SWHは室内ドアの上下に隙間があり、家中の空気が均一化する。単に省エネルギーというだけではない。結露やカビ、底冷えがなく、高齢になって一層強く感じることだが、何よりも快適さがありがたい。日本の全国年間平均温度は15-16度らしいが、住宅に太陽光発電の設置を推奨する前にまずは寒さ対策、いわゆる後付け複層ガラス窓の設置も含め、私は断然、高気密・高断熱の住宅を薦めたい。

(2023年1月)

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