私はこう思う!

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  温室効果ガス排出実質ゼロ

小林 良子氏 yoshiko kobayashi
杉森久英記念文庫活用研究会会長/同人誌「風媒花」主宰

日本が2050年迄に温室効果ガス排出実質ゼロを目指すと聞いたとき「本気なの」と思わず呟いた。この問題は国際社会で屡々議論され、二酸化炭素削減の目標の時だけ話題になり、多くの国の賛同は得られなかった。それでも日本は穏やかな気候だったが、今や亜熱帯で一旦雨が降れば、地下浸水、洪水、土砂崩れなどの災害に晒される。被害は国によって異なるが、この問題解決は全世界(196ヵ国)の重要課題である。

解決は世界各国が心を合わせ協力することが不可欠だが、それが難しい。G7の英国が二酸化炭素の排出が多い石炭火力発電の全廃を他国に迫れるのはヨーロッパ諸国が仏蘭西から電力が買えるからだ。だが、資源の乏しい日本や電力需要が急増するアジア諸国では安価で安定した電力を供給できる石炭火力発電は国の利益に繋がる。国にはそれぞれ事情がある。だとすれば、今できることは二酸化炭素排出抑制である。

そんな背景もあって日本は二酸化炭素を回収・再利用する技術を着々と進めた。その技術(CCUS)提供で二酸化炭素排出量を抑制できれば、多くの国の参加と同意が集まるかもーと、微かな希望を感じた。

G7が終了した15日、日本は海外での温室効果ガス排出抑制を官民一体で取り組むと発表。技術提供の見返りは削減量を相手国と分け合う「2国間クレジット制度」(JCM)を活用する。この制度は日本が提唱し、すでに17ヵ国の180事業が決まっている。更にJCMと同様の取り組みがスイスでも実施され、他の先進国でも導入の検討が広がっている。この方式は多くの国の参加と賛同が期待でき、同時に再生可能エネルギーや省エネルギーの研究・技術向上に結びつく可能性を秘めている。

とすれば、私の役目は国民として気候変動問題や政策などに関心をもって見つめ続けることである。称賛したり、時にはヤジも事業推進には必要。気の利いたセリフ(ヤジ)が言えるようになりたいと思っている。    

(2021年6月)

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