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樹木医ママも、気候変動を救うひとり

松村 紅実子氏 kumiko matsumura
オフィス計都代表/フリーアナウンサー/Think オーレ!主宰

大分市の「第8期地球温暖化対策おおいた市民会議」の公募に応募し、作文・面接を受け晴れて委員となったがコロナ禍で会議や講座も順延。3度目の正直の講座は委員2人が市民に向けての講座講師となって開催された。

そのひとり、公募委員の柿本雅子さんは造園会社に勤務し「樹木医」の認定を受け、二人の男の子を子育て中。子供の頃からテレビの自然環境がテーマの番組を視聴し、大学では環境保全サークルでリサイクル活動に参加してきたと言う。演題は『私たちに必要な樹木の力~緑を活かしてCO2を削減しよう~』。

「木」は地球上の生き物の命と暮らしを支えている、「木」を元気にする事は人を元気にすることにつながっていると始まり、気候変動対策には「緩和策」と「適応策」があり、植林と緑化は二酸化炭素を吸収(緩和)し、ヒートアイランド対策(適応)にもなる対策だ、と。世界の森林面積の森林率では日本はスウェーデンに継ぐ2位だが面積は0.6%の23位。日本の国土の5倍の森林が世界で減少した今、街にあふれる元気のない木、その原因が落ち葉や張り出した枝に対する苦情で切られてしまうこと、草刈作業の機具で幹が傷つくこと、植えられた地面の硬さや水はけ・乾燥などで枯れてしまうこと、一人が吐き出すCO2は1年に320kg、車1台からは2,300kgであり呼吸で出すCO2を帳消しにするには、ケヤキや楠が5~10本必要であることなど、地球で一番長生きで大きな「木」の働きを切々と訴え、目からウロコの講座になった。

「人は誰しも一様に望ましい行動をとることは難しいが、『木』は感情でCO2の吸収や酸素の排出を変えはしない。精一杯与えられた環境で生き、全ての生命が住みやすい環境にしてくれる樹木の力を借りて、もう一度住みやすい環境を取り戻しましょう」と結んだ。なんと素敵なお母さんだろう、こんな母親に育てられる子供たちが「大分市民の誓い」にもある「緑あふれる豊かな人間都市をめざしています」の街をつくってくれるのだと思うとわずか25分の講座に胸が熱くなり希望が見えた。

(2022年12月)

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