エネルギーの「ベストミックス」とは、日本のエネルギー電源(水力・火力・原子力・再生可能エネルギー)構成をどのような割合にするのかを、様々な視点から考え、数値として表した物である。
この考え方は、エネルギーのみならず、身近な暮らしの中にも取り入れることができる。様々な要件を持っている物事や人を、ある目的でひとつにまとめる時、個々の良さを活かし、バランス良く割合を決めることはとても大切である。
つまりジグソーパズルのように不揃いのピースを合わせ「一枚の絵」として完成させるというイメージである。しかしこのピースは、ケースによっては不動・定型でなく、流動的なものもある。リスクもあるし面白みもある。
私がかかわっている消費者団体も、毎年一枚の絵を描く。「消費生活の向上を図る」目的で集う21の構成団体は、会の成り立ちも、構成メンバーも、行政とのかかわり方も大方違っている。年毎に大きさも形も異なり、しかも流動的である。しかし補い合いながらうまくあてはめ、一枚の絵として完成させる。団体の運営上のベストミックスを心がけている。毎年仕上がり具合は様々であるが、21枚のピースが一枚の絵の中に居場所を見つけ「今年も一枚の絵が描けたね」という達成感をどの団体もが感じることができたら成功だと思う。
この原稿をしたためていたら、エネルギー基本計画のニュースが流れてきた。ベストミックスの割合が変わるという。世界情勢・経済・環境・資源など、そして私たち消費者の視点から考えて、質の良い安定供給につながるベストミックスになるのだろうかとふと思った。
団体としての一枚の絵は、そろそろ私の手を離れることになるだろう。最後の一枚の絵を描き切るまで最善を尽くすこと、そして楽しもうと思う私である。
(2021年8月)