私はこう思う!

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他人事は自分事-北欧の歴史を想いつつ

槇村 久子氏 hisako makimura
京都女子大学名誉教授/京都女子大学宗教・文化研究所客員研究員/(一財)大阪市男女共同参画のまち創生協会特別顧問

新型コロナ感染状況とウクライナの戦況をニュースで見ない日はない。ロシアのウクライナへの侵攻からすでに半年、日本のコロナ禍はもう3年になる。社会的状況下の人の生死は、個人の生と死である。他人事のように見えて、実は自分事であることを思い知らされる。

ウクライナへの侵攻が進むにつれ、欧州へ天然ガスのパイプラインや日本が出資する目と鼻の先にあるサハリンの天然ガス開発を止める動きも。遠い国で起きている戦争ではないことを実感する。ガソリンの値上げでマイカーで遠出するのを考えてしまう。

私は初めスウェーデンに女性の働き方や福祉を学びに訪れ、ノルウェーやデンマークにも、環境都市づくりや環境教育も含め何回も足を運んだ。フィンランドではホームステイして日常生活を共にした。その中で感心したのはすてきな毎日の時間の使い方と日常生活である。自然の中での散歩やサイクリング、家族との食事、環境性能の良い家、カーシェアリング等々。厳しい自然環境や自国の資源、国境の内外の歴史の中で、生活者の市民に強く培われてきたものであった。

日本は今、海外からのエネルギー資源の調達が難しくなっている。火力、再エネ、水素、アンモニアなどCO2削減に向け技術開発に取り組んでいる。その実現まで時間がかかる。気候変動は豪雨や食料など私たちの生活にも影響する。時には現実的な対応が必要である。最近やっと原子力発電所の再稼働と次世代原子力発電も検討するようになったようだ。

電力の需要がひっ迫した時、何とか乗り切ろうと私たち生活者は省エネをした。すっかり“省エネ” を忘れてしまったのだろうか。私たちはどのようにすれば、不要なエネルギーを使わず、心豊かな毎日の生活ができるだろうか。

日本は超高齢社会になり、生産年齢階層から多様な世代へ、時間を楽しむライフスタイルを創りたい。それにはコロナ禍で始まった新しい働き方や都市の空間づくりも急がれる。

(2022年9月)

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