私はこう思う!

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まちづくりに思うこと

秋本 和美氏 kazumi akimoto
フリーアナウンサー

晴れた日には霊峰白山が美しく、この白山からの清らかな雪解け水が 加賀平野を潤し、米や麦、蕎麦など豊かな穀倉地帯を育んでいます。
春はまだ雪の残る白山を背景に桜や菜の花のコントラストが美しく、夏は大きな蓮の花畑が一面に広がる日本の原風景の様な景色に心癒やされる人も多く、私もその一人です。

ところがここ数年で菜の花畑はアスファルトの道路に変わり、周辺の田畑はどんどん宅地に変わり、住宅が立ち並ぶと今度はスーパーにドラッグストア、24時間営業のディスカウントショップやコンビニが一つのセットになったようなエリアが出現しました。全国どこにでもあるような風景です。 周辺の人口の割に店舗は大型店で、深夜営業のスーパーに入ってみると、堆く積まれた商品の数々、広く取られた通路は快適に見えますが、買い物客の姿は見えず、従業員は二人体制のようでした。

店内は寒い程のクーラーが効いています。他にも店舗内外やディスプレイ用の照明など、果たしてスーパーやコンビニでは一体どの位の電力が消費されているのか。これほどエネルギー資源が高騰し、需給が逼迫している時にと考えます。

環境省や総務省調べによると「延べ床面積1万㎡程度のスーパーで1年間の電気代は7千万円程度、約700家庭分に相当する」ことになるそうです。中にはショーケースの電気を消したり空調システムを工夫していたりして電力消費量を減らす努力も見られますが、電気代事情に頭を悩ませているのなら、24時間頑張って営業して貰わなくて良いとすら一般消費者の私は思います。

地域が抱える問題の一つに高齢化や人口減少があり、自動車の運転免許返納者や防犯の意味で近くに買い物が出来る場所があり、夜中も煌々と灯りがついている場所があれば防犯上安心だという声もあるようですが、これまでも近くにそういう場所があるにも関わらず、心が癒される風景を失い大量のエネルギーを使ってまで新たに必要なのかどうかは疑問に思います。

先日北海道に出かけた折、千歳空港からほど近くのところでソーラーパネル群を見かけました。誰もが見たいのは北海道の大自然でしょう。私達は便利なモノや楽しそうな事を追い求め、逆に自分たちの生活を厳しい方向に追いやってしまっているのではないかと思うのです。

すでに始まってしまっている地球温暖化は、待ったなしの問題となっており、エネルギー、環境、文化、芸術といった人々の生活の周りに存在する一見関係の薄いようなものが密接に絡み合ってこの現象を作っているのではないでしょうか。

都市計画は何十年も前に決められます。未来に本当に必要なモノは何か、何が必要で、何が必要ないか、少なくとも資源をどう有効活用するのか、将来の社会がどうあるべきかを長期的に考え、いち早く取り組んでいく必要があると思います。

(2023年7月)

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