私はこう思う!

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SDGsとエネルギー 

餌取 章男氏 akio etori
科学ジャーナリスト/京都先端科学大学客員教授

大学のゼミで「SDGs」をテーマに取り上げた。17のGoalsを説明した後に、18人の学生たちに16のGoals(17番目は異質なので除く)のどれをトップ・スリーに選ぶかを聞いてみた。

結果は、1位を3点、2位を2点、3位を1点として計算してみるとトップは “すべての人に健康と福祉を”、2位は “質の高い教育をみんなに”、3位は “飢餓をゼロに” であった。大学生らしい順当な結果だと、うなずけはしたのだが、ちょっと残念な気もしないではなかった。

私自身のトップ・スリーを選ぶとすれば、順序はともかく、“安全な水とトイレを世界中に”、“エネルギーをみんなにそしてクリーンに”、“気候変動に具体的な対策を” になっただろうからである。

ちなみに、学生の投票では “水とトイレ” が “餓飢” と同点3位、“気候変動” が9位、“エネルギー” が11位であった。

私たちの未来を明るいものにするためには、この狭い地球上で、100億になんなんとする人々が、それぞれ快適に生き続けて行ける環境を維持することが何より大切であろう。ガイア仮説で有名なジェームズ・ラヴロックも言っていたように、地球はそろそろ老齢期に近づいている。この中で人類が繁栄を維持するためには、環境の悪化を防ぎ、健全な活動を行うためのエネルギーを確保することが何よりも必要であろう。

コロナ禍の現在、私たちはその解決法ばかりに目が行きがちだが、今こそ気候変動の重大性とエネルギーの確保に意を用いるべきではないだろうか。環境論者として原子力に絶対反対だったラヴロックが、気候変動の解決策の1つとして原子力発電賛成に転じたのを私は支持したい。

かつてノーベル賞の利根川先生と柏崎の原子力発電所を視察に行った時、もし人類が滅びるとすれば何が主因になるかという話になって、「それはエネルギーの枯渇ですよ」と言われた先生の言葉に、全面に賛意を表した記憶がよみがえる。  

(2021年5月)

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