私はこう思う!

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原子力緊急時に備えるリスク・コミュニケーター

市川 まりこ氏 mariko ichikawa
食のコミュニケーション円卓会議代表

聞きなれない言葉だと思われる方が多いと思います。私は、2018年に公益財団法人原子力 安全技術センターが実施するリスク・コミュニケーター育成研修(年1回開催)のことを知り、どうしても受講したいと考えて申し込みました。そこから継続して5年目、今回は2022年12月17日(土)に開催され実践編を受講しました。参加者は、医療、教育、エネルギー、生協等の消費者関係者等多彩な顔ぶれでした。

研修は、放射線生物学、社会心理学、危機管理対応やSNSの活用などの実学で構成される基礎編を学び、実践編では住民などとの具体的なリスク・コミュニケーションができる人材の育成を目的としているものです。

原子力発電や放射線の専門家でもない普通の市民である私が、どうして受講するようになったのか、それには訳があります。30代の頃、当時住んでいた東京で開催された「原発立地地域と電力消費地域」の意見交換会に、消費地側パネリストとして参加したことがあります。普段何気なく使っている電気のことを考える貴重な機会を得た体験をきっかけに、エネルギー問題を自分事として考える学びを積み重ねていこうと心に決めました。

2022年11月、経済産業省は今後の原子力政策の方向性を示す行動計画案を提示しました。最長60年とされてきた運転期間の延長を認め、次世代原発の開発・建設を進めることなどが柱になっています。福島第1原発事故から11年を経て、やっと日本のエネルギー戦略の基本になる道筋が見えてきたと思っています。

原子力緊急時に備えるリスク・コミュニケーターが緊急事態に活躍する日なんて、絶対来てほしくないです。しかし、この世の中にゼロリスクはありえませんから、万一の時のために備えておくつもりです。ありがたいことに、現状活躍できることは何もありませんが、原子力安全への意識が麻痺してしまわないように、市民として可能な限り学びや体験を継続して積み重ねておきたいと考えています。

参考 *原子力安全技術センター (nustec.or.jp)

(2023年1月)

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