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原子燃料サイクルについて思う 

秋庭  悦子氏 etsuko akiba
NPO法人あすかエネルギーフォーラム理事長

日本は資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、原子力発電所の使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する原子燃料サイクルの推進を基本方針としている。この実施主体となっている日本原燃株式会社の再処理工場は、2年前に原子力規制委員会の安全審査に合格し、今年度中の竣工を目指して安全対策工事が進んでいる。すでに着工から29年も経っているが、今度こそ竣工して、エネルギー資源の安定供給に寄与してほしい。

青森県六ヶ所村の再処理工場は建設が始まった頃から何度も見学させていただき、また地域の方たちと意見交換させていただいている。日本原燃と地域の方たちのコミュニケーションは大変円滑であり、信頼関係が強いように感じるが、これは長い年月の積み重ねがあったからこそではないだろうか。

今年5月、あすかエネルギーフォーラムの研修会において、「高レベル放射性廃棄物の地層処分」をテーマにグループディスカッションを行った。そのグループ発表の際に、「なぜ、六ヶ所村で再処理した直後の高レベル放射性廃棄物を一時的に貯蔵しているのか」という質問が挙げられた。また合わせて、「そもそも、六ヶ所村が原子燃料サイクル施設を受け入れた時、どのような思いだったのか」という質問があり、この場に参加していた六ヶ所村の女性グループの方から、「最初は農業中心の地域と漁業の地域では意見が異なっていた」「村を豊かにするために受け入れたが、今では高校もできて暮らしが豊かになった」「もうすぐ再処理工場が竣工するが、何かあった時は国が責任を取ってくれるのか心配」とそれぞれの思いを率直にご発言いただき、深く心に響いた。

改めて、原子燃料サイクルについて考えるとともに、その施設が立っている大地には、六ヶ所村の住民の皆様の様々な思いがこもっていることをしっかりと感じる必要があると思った。

(2022年7月)

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