私はこう思う!

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  電力危機と報道 

吉村 佳美氏 yoshimi yoshimura
フリーライター

今冬は大雪だった。一昨年は1981年以来の記録的な豪雪となり、昨年は暖冬、もうしばらくあんな積雪はないだろうと高を括っていたら、とんでもなかった。旧市街地にある我が家の前の狭い道路は雪に阻まれ、私は1週間、車を出すことができず、食料品を求めて歩いてコンビニまで行くと、そこには「ここはどこの国?」と思うような、空っぽのショーケースしかなかった。

食べ物は何とかあるものでしのいだが、心配だったのは暖房である。これまでは電力不足というと、夏場の猛暑時のエアコン等のフル回転によるものだったが、それが冬にも起こっているらしい。

気になってインターネットで調べると、この頃、北陸電力送配電の供給予備率は、適正とされる8%を大きく下回る3%以下が連日続き、今年1月7~8日には電力使用率が99%に達し、中部電力パワーグリッドなどから電力を調達して乗り切った、ということだった。

しかし、この事実に一体どれくらいの人が気づいただろうか。私の記憶では、新聞では調達したことが小さく掲載され、TVのニュースでもさらっとだけ報道されたような気がする。もし本当に電力の供給がストップしたら、一大事どころではないはずなのに。

寒波による全国的な寒さや送電システムの問題、そしてコロナ禍で火力発電の燃料となるLNGの輸入が減少したことなど、複合的な要因が重なったことによるものだが、私たちはあまりにも頓着しなさすぎるし、報道も大きく伝えない。どこかに、電気は使えて当たり前という気持ちがあるように思えてならない。そして伝える側にも、「電力ピンチ!」と事前に大きく報道する義務があると思うのだが。

エアコンから床暖房までオール電化の我が家では、電気が来なければ即アウトである。昔ながらの石油ストーブも高気密住宅のため使用できない。そこで、カセットコンロ用ボンベで使える小さなガスストーブを準備した。   

家庭でもエネルギーミックスは必要だと感じている。さて夏はどうなるか。

(2021年7月)

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