私はこう思う!

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中尾 佳世子氏 kayoko nakao
関西原子力懇談会・原子力広報女性アドバイザー

コロナに翻弄されている間に、ふと気づけば、テレビのお天気コーナーは紅葉情報を伝え、自動設定にしているエアコンは暖かい風を吹き出している。

9月12日に菅内閣が発足して約1ヶ月が過ぎ、新政権のエネルギー政策も見えてきた。梶山経産相を取材した日経新聞(10月14日)が、彼の発言ポイントを次のようにまとめていた。

・再生可能エネルギーを最大の主力電源に
・再生エネ普及へ蓄電池や新技術の開発促進
・原発は今後10年間、再稼働に注力
・核のごみ問題は「自分たちの世代で方向性」
・非効率な石炭火力削減で国際批判に対応

再生エネの拡大や新技術の開発、化石燃料の削減などは、政府の政策次第で進展するだろう。だが、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定は、国の意向だけではどうにもならない。かつての東洋町のように・・・。

しかし、最近、この課題にちょっと光が差してきたようだ。地層処分の候補地選定の前提となる「文献調査」に、北海道の二町村、寿都(すっつ)町が応募し、神恵内(かもえない)村は国の申し入れを受け入れた。

かといって、原子力発電が「トイレなきマンション」の汚名を返上できるのは、まだまだ先のこと。文献調査、概要調査、精密調査と進んでも処分場の決定には約20年を要し、かつ、知事や市町村長が反対すれば停止となる。北海道の鈴木知事は反対を表明しているが、泊原子力発電所からも「核のごみ」は出ている。

寿都町や神恵内村のアクションを機に、私たちも「核のごみ」を自分事としてとらえ、また、全国の首長はこぞって、北海道の幌延深地層研究センターを見学し、考えて欲しい。

原子力発電に賛成であれ、反対であれ、その恩恵は等しく受けてきたはずだから。

(2020年10月)

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