私はこう思う!

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天野IAEA事務局長の講演を聞いて

碧海 酉癸氏 yuki aomi
消費生活アドバイザー/ウイメンズ・エナジー・ネットワーク会員

猛暑を逃れて信州に滞在した。40年前に山荘を建てたのは人口7万ほどの塩尻市である。JRの塩尻駅は中央本線と篠ノ井線が発着し、ホームは3本、改札口までと駅の出入りはエレベーター(以下EV)が設置されているので、私のように杖に頼る者も困らない。駅の構造がわかりやすいから、利用者の行動も極めてシンプルである。比較していつも思うことだが、最近改造が進む首都圏の交通網や駅施設のなんと複雑でわかりにくいことか。ETT会合でも利用する新装なった大手町駅もしかり、<大手町>で公営・民営の地下鉄とJR、合わせて路線6本の乗換ができることになっていて便利そうだが、井桁状に交差する各路線間の移動距離がひどく長くて、しかも表示が恣意的。たとえば東西線の中央改札口を出て都営三田線改札口まで表示に従って歩いてゆくと、最後は階段になる。そこになぜか左矢印で千代田線改札口へのEV表示がある、しかし都営三田線へは階段に向かう矢印のみ。実はこのEVを使えば都営三田線の改札口前にもちゃんと出られるのだが。

逆に都営三田線の改札を出て東西線に乗り換えようとするとEV表示は見当たらない。往路を思い出して戻ればEVはもちろん存在するので東西線まで階段を使わずに行ける。まったく隠れんぼの為みたいなバリアフリ-設備と、表示のいい加減さと不親切さにはほとほと呆れかえる。他社のビル内を通過するためとか、経営が違うとか、構造上とか理由は理解できなくはないが、65歳以上が27%の高齢社会、もはやそんなことを言ってはいられない。WEBに掲載されている<駅構内図>も一体どれだけの人が理解して利用できるというのだろう、試しにごらんになってみてほしい。塩尻駅の利用にはWEBは不要だ。通ってみればすぐ理解できる。EVやエスカレーター、動く歩道のエネルギー消費量はばかにならないが、場所・容積・数・案内表示すべてに一貫性の欠けたバリアフリー設備の見直しと改善には利用者特に高齢者の目線をぜひ大切に。<駅という名の迷路>で途方に暮れて立ちつくす人々に救いの手を。

(2018年10月)

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