私はこう思う!

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めざせ!日本のシュタットベルケへ

松村 紅実子氏 kumiko_matsumura
オフィス計都代表/フリーアナウンサー/Think オーレ!主宰

大分県で「一村一品運動」が始まったのは平松守彦県政時代の昭和54年(1979年)。江戸時代からの小藩分立意識は58市町村あった県民をあおり、椎茸・カボス・関アジ・関サバなどの生産や人づくり、日本各地の地域づくりに大きく貢献した。NPOという組織が生まれたのもこの流れからだ。モノづくりを始めた私たちはその動力の元になる「エネルギー」にあの3・11以来真摯に向き合い目覚める時を得た。 

私の住む大分県のキャッチコピーは「おんせん県」で湧出量と源泉数は日本一。大正4年(1915年)日本初の地熱発電に成功した別府温泉、九重町八丁原発電所は日本最大の地熱発電所。大分は再生可能エネルギー自給率日本一のトップランナーだ。遅れを取った感もあるが5町村合併でできた豊後大野市が2017年大分初の自治体主導型電力会社を設立した。県下最大の大野川が流れ、かって別府大分を結ぶ別大電車の電力供給もした先進地。県内のエネルギー企業、金融機関も参加した「ぶんごおおのエナジー」が期待される。全国でも検討中も含むと100を越える自治体新電力会社が設立する今はかっての一村一品運動時代の熱気を彷彿させる。昨年の北海道のブラックアウトはこれに拍車をかけた。緊急時の自立分散型エネルギーシステムは住民福祉をも向上させ、新たな雇用を生む地域創生の力となり、ジオパークに認定された豊富な自然資源の地産地消のエネルギーの使用は住民生活を支える真のエネルギーとなる。

昨秋の講演会で、神津カンナ氏は「今はシビアに物事を見る繋ぎの時代」と語り、日本版シュタットベルケ(ドイツにおける、自治体主導エネルギー供給会社)を提唱する柏木孝夫氏(東京工業大学特命教授)は「電気は血液と同じ」と話し、分かりやすく新時代へのエールを送った。講演後、東洋のナイアガラと呼ばれる原尻の滝近くの若者が、10連水車でライトアップの電源を取りたいと語る姿に「身土不二」を想い、これからのエネルギーはまさに「土産土法」の手法で、地域のエネルギーは自らつくり利用する時代へと入ったと確信し、後に続く市町村のエネルギー源になって欲しいと強く願った。 

(2019年1月末)

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