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地球をパンクさせてよいか

中村 政雄氏 masao nakamura
ジャーナリスト

石油を燃やす時代は今世紀中に終わります。資源が枯渇するからではありません。

石油を含めた化石燃料から生じるCO2の排出量をゼロに近づけるために、世界が動き出したからです。2015年12月にパリで開かれた第21回締約国会議(COP21)で、すべての国が世界の気温上昇を2度未満に抑える対策をとることに合意しました。

地球温暖化の主な原因が、大気中のCO2の増加によると分かってきたからです。

私たちの身の回りでも温暖化の影響は目につくようになりました。わが国ではほとんど起きなかった竜巻が最近頻繁に発生するようになったのが一例です。豪雨、干ばつは世界的に増加してニュースになりました。水不足は食糧不足や国と国の紛争の原因になります。『まだたいしたことないよ』と思われる方がいるかもしれませんが、楽観はできません。

人類はすでに「地球の限界」を超えて生活しているという意見が国連の環境と経済発展を議論する会議でも出されました。「地球の限界」について、ストックホルム大学のヨハン、ロックストローム教授は次のように語っています。『地球はある変化に段階的に反応するのではなく、一気に不安定化する転換点があるというのが私たちの考えだ。それは予期せぬ事態を引き起こし、経済活動に劇的で破壊的な悪影響を与えかねない限界だ。体温に例えると分かりやすい。人間にとって42度が限界点であることは誰もが知っている。それを超えると、生から死へと劇的に変わりかねない不安定な状況に陥るため、ほとんどの人は38度くらいで仕事を休んだり薬を飲んだりして体を治そうとする。』

サウジアラビアやイラン、アラブ首長国連邦のような大産油国、ロシアや米国、中国、インドなどの大国が原子力発電を増やそうとするのは、石油を燃やす時代の終焉を予感しているからなのです。

(2016年7月末)

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