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大雪の新千歳空港で・・・私の電力危機! 

吉村 佳美氏 yoshimi yoshimura
フリーライター

昨年暮れ、北海道幌延町の幌延深地層研究センターを訪れた。地下350メートルの坑道で地層処分システムの性能の確認、地下水をはじめとする物質移動の研究などが日々行われている。

しかし地層処分はまだ実用化にはいたらず、最終処分地の候補すら上がっていない。福島第一原子力発電所事故の影響で長らく日本の原子力発電所が稼働していなかったとはいえ、高レベル放射性廃棄物は間違いなく存在する。原子力発電に賛成か反対かは別の問題であり、今すぐにでも確実に処理しなければならないこの問題を、他人事のように気にもとめない人があまりにも多いことに驚きというより焦りを感じながら幌延を後にした。

その日、札幌周辺は50年に1度という大雪に見舞われた。稚内からの飛行機が飛ばず、6時間以上かけて千歳へ。翌日、小松便をはじめ、ほぼすべての便が欠航となり、新千歳空港の発着ロビーは容易に歩くこともできないほどの人であふれかえっていた。札幌・新千歳周辺のホテルがとれず、本来なら1時間半足らずで行けるはずの小樽のホテルに7時間がかりで到着。翌日もほとんどの便が欠航し、結局2泊3日の予定が4泊5日となった。

欠航に伴い、ネットでの情報収集や新たなチケットやホテルの手配、それをサポートしてくれる人との電話やメールでの連絡はすべて携帯電話(スマートフォン)頼み。モバイルの充電器も持参していたが、バッテリーはあっという間に減っていく。ラウンジの電源プラグは皆誰かのコードとつながっており、私のスマホを充電できる空きはひとつもなかった。もう限界と感じ、慌ててコンビニで乾電池式のモバイル充電器を購入した。チケットもeチケット。スマホのバッテリーがなくなってしまえば、連絡はおろか飛行機にも乗れない。そしてバッテリーを充電してくれるのは、その名の通り電気なのである。

発電後のいわゆる「核のゴミ」問題を考える旅のはずだったが、まさに今、電気そのものに不自由して、恐怖すら感じている自分。電気を自由に使えなければ、何もできない時代であることを大雪の空港で思い知らされた。

(2017年1月末)

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