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次世代へのエネルギー教育に期待

日景 弥生氏 yayoi hikage
弘前大学教授

2018年9月「カルチャーロード2018」(以下、カルチャーロード注1)が開催され、筆者は「スカーフクラブあおもりサロン」(以下、スカーフクラブ注2)のサポーターとして学生達とともに参加した。スカーフクラブは、今までもカルチャーロードに参加し、クイズを通して市民にエネルギー等の知識を伝える広報活動を行ってきた。今年は、(一財)日本立地センターからの助成金を受け、広報活動をより積極的に取組むために、青森県内の大学を中心に学生達と教員達に参加を依頼した。

日程は、カルチャーロードの前日と当日の2日間で、前日は市民への説明内容を理解するための講話等が行われた。当日は、パネル等を用いて、エネルギーに関する説明を、学生達と教員達がスカーフクラブ会員とともに行った。人手が増えたこともあり、開始時刻の9時から途切れることがなく対応することができ、結果的に1,000名を超える市民の来場につながった。マンパワー(学生達や教員達)投入は、より積極的な広報活動になったと言える。

加えて新たな、そして評価できる取組みは、学生達が講話により得た知識等を、自ら市民に説明する機会を設けたことである。既知のことと思うが、定着率が最も高い学習方法は「他者に教える(見て、聞いて、話し合って、実践したことを伝える)」と言われている。この取組みは、まさにこれと重なる。つまり、学生達が前日に学んだことを自分で理解・判断し、市民にパネル等を用いて説明したことである。またこれにより、学生と市民との会話が生まれ、場合によっては、より詳細な説明等が求められ、学生達の達成感も高まった。換言すると、参加型のような受け身の学習ではなく、学生自らが積極的に関わる場面の設定がキーポイントだったと言える。

次世代育成や自身の知識向上には、時間はかかるが「他者に教える」場面をプログラムに組込むアクティブ・ラーニング(能動的学習)を適時活用したい。次世代育成のための効果的な取組みを学んだ貴重な体験だった。

注1)「カルチャーロード」とは、弘前市中心商店街の約1kmを歩行者天国にし、各種団体が割り振られたブースで、参加した市民に対しPRや説明等を行うものであり、今回は30回目の開催だった。
注2)「スカーフクラブ」は、「げんねんレディースモニター」OG会を前身とする会で、エネルギー等に関する適切な知識の普及促進を図ることを目的に活動している。

(2018年10月)

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