私はこう思う!

INDEX

正しい認識を

芦野 英子氏 eiko ashino
エッセイスト

2015年6月26日、六ヶ所村へ原子燃料サイクル施設を視察見学しに行った。久しぶりに訪れた施設はかなり建設も進み、原子力規制委員会の新規制基準にそってほとんどが完成していたが、今は竜巻の対処にかかっているとの現場を見せてもらった。

野外に置かれた大きな貯水タンクが3個、飲料水・純水・純水とあったが、純水というのが何か分らなかったので聞いたところ、貯蔵タンクで使用済燃料を冷やすために、近くの河川から取水してその水をわざわざ純化したものを貯水しているとのことであった。

私はこの施設には立地が決まり建設が始まる以前から何度も出掛けている。

話は変わるが、先頃行われた青森県知事選挙で三村知事の続投が決まったが、対抗馬で出馬した人が原発反対・サイクル基地撤去のスローガンで、その他の政策にはほとんど触れていなかった。知事の仕事はそれだけではないだろうにと思いながら過ごしたが、12万票あまりも投票した人がいたということは、それだけ原子力発電やサイクル施設に不安や不信感を抱いている県民がいたということでもある。

後日医師で反対派の友人に会って話を聞いた。彼は40代の勤務医で発電所もサイクル施設も訪れたことがない。『そんな怖いところにだれが行くか』と言う返事であった。それなら医療で使われている放射性医薬品や手袋・白衣・器具などはどうなっているのか知っていますかと聞いたら『それは放射線といってもレントゲンと同じで危険度が薄いから』という認識であった。約3時間かけて放射性医薬品の後処理は岩手県滝沢村にある日本アイソトープ協会の廃棄施設に保管されているところまで話した。初めて知ったと驚いていた。

原子力発電所がいずれ廃炉を進めるときに、六ヶ所村の原子燃料サイクル施設の技術が重要な役目を担うと考えられることも多くの人は知らないから、ただ原子力というだけで、いわば食わず嫌いしているのだ。正しい知識をもって学習してほしいし、国も事業者もそこに力を注ぐべきだと思った。

(2015年7月末)

ページトップへ