私はこう思う!

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原子力発電は技術プラス人情で…。

大谷 鮎子氏 ayuko ootani
(株)オリジナル・メディア・サービス代表取締役社長

東北地方太平洋沖地震による大津波の影響をもろに受けた日本の原子力発電。震災後3年目を迎えた今も原子力発電をめぐる状況は、東北地方だけでなく全国の原子力発電の先行きも不透明なままである。関係者の方々の心痛はいかばかりか。

今から18年前、一人でも多くの人に原子力発電の大切さを伝えることを使命に、地元で発電所視察の実施運営に関わってきた。このような立場から原子力発電について思うところを吐露したい。一つは、電気は便利さ快適さを満たすだけでなく、いろいろな豊かさを提供するものでもあるという視点である。エネルギーセキュリティーや経済性に優れた原子力発電は、資源の少ない日本において、発電のベースを担ってきたはずだ。今後も原子力発電が担うべき役割に期待し、安全性の確保はもちろんのこと、どのように私たちの暮らしが支えられているかを知るための取り組みが必要不可欠であると私は思う。

次に、日本の原子力発電業界が目指す技術は、人の情けを重視した技術であってほしいものである。さまざまな事業を成功させるためには、技術プラス、人情が重要。今後、増えるであろう原子力発電技術の世界市場を視点に据えた輸出や技術者養成への取組みなど、異なる文化や価値を持った協働事業ではなおさら、技術力を存分に発揮する環境においても「人情」がキーワードになると考える。

また、今の日本には、誇るべき技術を世界に売り込む、または、次世代へと語り継ぐ情報やツールが必要で、それは心に残るものでなくてはならない。そこで原子力発電技術のハード面だけでなく、技術者たちの偉業達成への苦労話など、人を中心とした原子力発電技術の歴史をまとめること、さらにその優れた技術情報を学校教育などを通じて、広く市民社会へ公開するなど、誇るべき日本の技術を世界、次世代へと伝え、つなげていくことで、"フクシマの教訓"が世界の人々にとって大いに生きてくるに違いないと確信するものである。

(2013 年3 月末)

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