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原子力発電は欠かせない

中村 政雄氏 masao nakamura
ジャーナリスト

1973年にオイルショックが起きたが、なぜ起きたのか、いまでもはっきりしない。はっきりしないということは、再び起きる可能性があるということである。原子力発電の安全性は福島第一原子力発電所での大事故のあと格段に強化されたが、オイルショック再発防止対策は、国際的なエネルギー情報の交換強化くらいだ。

危機の予測は難しい。「あす起きてもおかしくない」と専門家が40年以上前に予測した東海大地震はまだないが、ないと思われていた兵庫や熊本で大地震が起きた。

いまの日本のエネルギー自給率は8%。先進国で最も低い。電力は約85%が火力発電で、その燃料のほとんどは輸入品だ。電力の海外からの化石燃料依存度は88%。オイルショック時(76%)よりひどい。

世界の人口は増えるだけでなく、生活レベルの向上で一人当たりのエネルギー消費量が増え続け、2050年ごろには世界のエネルギー消費量は現在の2倍になると推定されている。供給量が追いつくかどうか。

これに対し、化石燃料や原子力発電に全く頼らず、風力、太陽光発電などの再生可能エネルギーで世の中を支えようという風潮が盛り上がりつつあるが、無理だろう。

日は照ったりかげったり、風も吹いたり止んだりする。日本には2016年末までに全国で4,400万キロワットの風力、太陽光などの再エネ発電設備(水力を除く)が出来たが、生産した電力量は約4%に過ぎない。洋上や山野を埋め尽さんばかりに再エネ発電装置を置けば、新たな環境破壊だ。

再エネ発電はコストが高い。ドイツは再エネ発電が進んだ国で全電源の30%以上になる。このためドイツの家庭用電力料金は米国の約3倍、フランスの約2倍とずば抜けて高い。関西電力は原子力発電の停止で電気料金を上げたが、運転再開で料金を下げた。原子力発電のコストは安いからだ。

世界では400基以上の原子力発電所が動いている。中国はすごい勢いで増設中だ。エネルギー危機が起きれば国家の危機だ。それを防ぐには原子力発電が欠かせない。

(2017年10月末)

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