私はこう思う!

INDEX

原子力の復権

油田 淑子氏 toshiko aburada
(公社)全国消費生活相談員協会監事

2011年3月11日の大震災を機に、日本のエネルギー事情は大きく変化した。

原子力発電所が一基も稼動していない中で、日本の生活と経済を支えるエネルギー資源の輸入は年間24兆円に上り、原子力を利用した場合と比べ、約3.6兆円増加すると試算されている。化石燃料利用により環境への負荷も増大している。一方、新興国、途上国のエネルギー利用は増加の一途を辿っているので、量的にも、価格的にも更に厳しい状況になることは避けられないはずである。今後は、輸入依存を減らし、「安定供給」「環境への適合」「安全の確保」を目指し、多様なエネルギー資源による供給と「国民の参加」によるエネルギーの効率的な利用を進めることが必要ではないかと考えている。

そのような中、ようやく2月25日政府の新しいエネルギー基本計画案が示され、「原子力は、ベースロード電源」と位置づけられた。同時に、「震災前に描いてきたエネルギー戦略は白紙から見直す。原発依存を可能な限り低減する。」とある。

基本計画では、具体的なベストミックスには言及していないが、以前から、ベース電源に加え、太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーの利用が進められてきた。それぞれの資源の抱える課題はあるにしても、今後の利用は一層加速されることになると思われる。また、シェールガスやメタンハイドレードなど新たなエネルギーの確保、水素、核融合の可能性など、多様なエネルギーの研究開発にも期待したい。

また、2030年頃には各家庭にスマートメーターが設置され、消費の見える化により、エネルギーの効率利用が図られると言われている。どこの地域でもスマートシティーが実現する訳ではないが、寒冷地では雪氷の活用、企業では廃熱の利用等、効率的なエネルギー利用が進んできた。私たち消費者も、子や孫にも安全で豊かな社会を残すために、自ら、環境負荷を減らすライフスタイルとエネルギーの効率的な利用についてしっかり学び、考え、そして行動に責任を持ちたいと思う。

(2014年2月末)

ページトップへ