私はこう思う!

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原子力再考

芦野 英子氏 eiko ashino
エッセイスト

丸紅が佐賀に、京セラが鹿児島にそれぞれ大規模な太陽光発電設備を設置したというニュースを見た。いずれも向う50年は発電可能との事であった。

福島第一原子力発電所の事故以来、原子力発電はすっかり悪者のように取り沙汰されて、再生可能エネルギーが持て囃され注目されている。けれど昨今の情勢においては電力会社が買い取りを中断する動きがある。風力発電の機器は一基一億円以上かけて作っても寿命は20年。発電能力は風次第。

20年たって解体して再利用できるのは2%の鉄。あとは産業廃棄物となる。

50年後の太陽パネルはどのように廃棄処分になるのであろう。とても気になる。

原子力発電所から出る放射性物質の処分も最初から考えなければならない問題であった。

福島はもう帰るべき故郷ではないと言う人もいるのは痛ましいことではあるが、思い出してほしい。広島・長崎の原爆投下の後、原子力や放射能のことなど何も知らない人々が素手で復興に勤しんだのである。そして一年後には白い花も咲いた。

他国の原子力の事故処理に比べて福島は技術的にも時間的にも速やかに進んでいると思う。

青森県は再処理施設や建設途中の大間原子力発電所がある。エネルギー問題で私にとって最大の関心事はやはり原子力の今後である。

平成14年に東京で行われた『MOX利用・国際セミナー』に出席し勉強させてもらった。大間は最初からMOX燃料を念頭に設計されていると聞く。

新聞もテレビも一過性のセンセーショナルな報道に偏り過ぎてはいないだろうか。

エネルギー問題は地球規模の環境を考慮に入れて進めるべき問題でもある。

正しい認識に基づき、冷静に、グローバルに直視していきたいと思っている。

そして自分にできる最大の努力をもって省エネにも心掛けたい。

(2014 年10 月末)

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