私はこう思う!

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大雪の新千歳空港で・・・私の電力危機! 

向井 麗子氏 reiko mukai
青森県地域婦人団体連合会 会長

一面真っ白な雪に覆われた津軽の平野を2両編成の電車が走る。約5分間隔で無人駅に停車し、1~2名の乗降客が入れ替わる。窓外は田畑であろうか、時折黒い筋のような道も見える。人里離れた集落で生活を営む人々にとって、電車は命綱ともいうべき貴重な存在であり、エネルギーが有効に利用されていると感じる。

昨今は、スイッチ、押しボタン、センサーなどで思い通りになる事象が多く、日常生活は便利で快適である。しかし、人間は便利なものに弱く、便利なもの程良品と思うようになり、労を要するものは敬遠するようになった。たとえば、高校生の息子を駅まで送迎する隣家の父親。80歳の私が10分で歩く、その同じ道を、嬉々として車で送迎するのを眺めると、隔世の感というべきか、情けないやら阿呆らしいやら複雑である。

太古の昔、人類は『火』を使う知恵を得た。火の明るさと暖かさを礎としながら、さまざまな形で利用し、我々は暮らしを豊かにしてきた。蒸気機関の発明などを経て、飛躍的に大きなエネルギーを生み出すようにもなった。が、しかし、敢えて今、思うのである。人間の「動作」も、捨てたものではないだろう、と。歩く、走る、引く、押す、持つ、握る、叩く、背負う、など、本来の人間の動作も、集まれば大きなエネルギーを生み出すのではないか。実際、エジプトのピラミッドなど世界に名だたる建造物も、日本の寺院や社殿や城も、重機などない時代に人の力だけで作り上げたものである。

地球温暖化抑制が叫ばれて久しいが、進展は見えない。我々は自然との調和を保ちながら文明社会を維持することを目指しているが、再生可能エネルギーは不安定である。このような状況で、ふと、夢想するのである。いつか、人力を高効率に変換する技術が生まれ、人力エネルギーが地球温暖化抑制の切り札となることを。人類の叡智を結集すれば、不可能ではないようにも思えるのだが。

(2017年1月末)

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