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バカンス法批准でI/Uターン促進

土井 裕子氏 yuuko doi
NPO法人五ヶ瀬川流域ネットワーク理事長

田舎にあふれている「再生可能エネルギー」を活用しようと一昨年、我が家のダイニングキッチンに薪ストーブを付けた。朝、薪を燃やし始めて鉄瓶のお湯が沸くのに30分。このお湯でコーヒーを煎れる気分は最高であるが、電気ポットでお湯を沸かすと1分なので、毎朝30分早起きしている。

2ヶ月に3回ほど、軽トラックで馴染みの製材所に端材をもらいに行き、休みの午後は台鋸で薪作りである。予想以上に薪の消費が早く、とうとうチェンソーまで買ってしまった。これらの作業も楽しいのだが、実感は「スローライフは忙しい!」である。

この冬は、ほとんどエアコンを入れる事無く過ごせたが、そのために費やした時間を考えると、働き方に余裕が無いと田舎でもこんな暮らしは出来ないと思った。

今、働き方も含め、日本の暮らしの枠組みを見直すチャンスではないだろうか。

地方の中山間地はどこも限界集落をたくさん抱え、これらの集落が消失すると、棚田や山林など、日本の美しい風土が壊れて行く。都市部から中山間地に応援に来て欲しくても、まともな休みの取れない現状では、交流もままならない。

日本もILO132条のバカンス法を批准すれば、2週間続けて休みを取らなければならなくなる。まずはその休みを棚田での田植えや稲刈り、茶摘みなどの応援に利用してくれれば、中山間地も助かるし、その間省エネ暮らしを楽しむ事も出来る。何より、田舎の人々との関係が深まって、I/Uターンのきっかけに繋がる事も考えられる。

田舎暮らしに憧れる人はたくさんいても、田舎の人との信頼関係が無いと実現は難しい。この手伝いがきっかけで、都会の労働者の1割でも田舎に住んで、自らの手で食とエネルギーを作る事を始めれば省エネも進むし、今習っておかないと消失しそうな、それぞれの地に伝わる田舎の生活技術や生活文化も引き継いで行けるのではないかと思っている。

(2013 年3 月末)

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