私はこう思う!

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非日常の中の日常――福島第一原子力発電所を視察して

歌代 勝子氏 katsuko utashiro
くらしをみつめる…柏桃の輪代表

平成16年の中越地震の直後、私たちは「原子力発電に未来はあるか?」をテーマにシンポジウムを開催しました。このときは誰もが原子力発電に「未来」はあると信じて疑いませんでした。そして原子力発電との「共生」を何の迷いもなく口にすることが出来ました。 今、同じテーマでシンポジウムをやったら、答えはなんと出るのでしょうか?

エネルギーや電気のことを学び続け11年が経過しました。この間、中越地震、中越沖地震、そして直接の被害はありませんでしたが、津波と福島第一原子力発電所事故を伴う東日本大震災と、3度の大きな地震に直面し、そのたびに「原子力発電」のありようが論じられてきました。世界一の発電量を持つ柏崎刈羽原子力発電所のまちに暮らし、原子力発電を誘致する時、そして今また、再稼動が論じられ「賛成・反対」でくくられる生きづらさを感じています。

国のエネルギー基本計画では原子力発電を重要なベースロード電源と位置づけ、安全性が確認された発電所は再稼動するとし、将来的には可能な限り低減することを目標としている。一方、政府は2030年時点でエネルギー別の発電割合について温室効果ガスを排出しない「原子力」と、太陽光や水力、風力などの「再生可能エネルギー」の比率の合計を50%程度とする方向で検討に入ったと言っています。安全が確認された原子力発電は再稼動するが、再生可能エネルギーの割合を、原子力発電より上回るようにして、原子力発電になるべく頼らない姿勢を示そうとしている。このようなあいまいさが立地地域住民にとっては大変悩ましいところです。

安全性が確認された原子力発電の再稼動は、これから順次進んでいくものと思います。 立地地元住民の立場からすれば、福島原発事故を教訓に電気事業者も様々な安全対策を進めていますが、その安全対策が私たちの安心につながるには、そこに国をはじめ事業者との信頼関係がなければならないと思っています。

立地地域に暮らし、原子力発電を受け入れた住民にすれば、原子力発電には未来があって欲しい!!そしてそこに暮らす人々が豊かさと幸せを感じるような原子力政策を心から願っています。

東日本大震災からまもなく4年を迎えます。 この時季になりますと松任谷由美の「春よ、来い」の歌が心いっぱいに広がります。 今年は東日本大震災で被災された皆様には、どんな春が訪れているのでしょうか。私たちは決して「あの日」を忘れてはならないと思います。

(2015年2月末)

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