私はこう思う!

INDEX

h1_asano

浅野 智恵美氏 chiemi asano
環境カウンセラー/消費生活アドバイザー

米国に移り住んで1年。昨年12月に、ニューメキシコ州アルバカーキにある核科学歴史国立博物館に出かけました。ここは核テクノロジーの平和的活用を通じ、初期研究から原子力の歴史を学べる場所でした。原子の草分け、冷戦、核医学、原子力文化、世界のエネルギー問題、原子力発電、核廃棄物処理、再生可能エネルギー、ナノ展示など見応えがありました。

ミュージアムショップで、2011年3月に東京電力福島第1原子力発電所で起こった炉心溶融(メルトダウン)に関するDVD “Inside Japan's Nuclear Meltdown”が販売されていました。日本でこのような事故が発生したことを申し訳なく思いました。一方で、広島、長崎の原子爆弾を模したワイン栓やピンバッチが販売されている様子を見た時は憤りを感じました。

次に訪れたカールズバット洞穴群国立公園では、ぽっかり開いた自然口から暗い洞穴内を約1時間かけて歩き、地下230mまで降りました。鍾乳洞が広がる薄暗い地底に、ランチルームと称したレストランと売店、団体利用可能な多数の水洗トイレがありました。地底とは思えない充実した生活空間の広さに驚きました。

復路は、所要わずか1分のエレベーターで地上に戻りました。あっという間です。その時頭に浮かんだのが、東濃地科学センター・瑞浪超深地層研究所です。ヘルメットを被りエレベーターで地下300mに降りたことがあります。米国のカールズバット国立公園を訪ずれ、岩盤が強固で地震等のリスクが低い地域であれば、日本も地底に放射性廃棄物の処理施設を造ることはできると思いました。自国で出したごみは、責任を持って自国で処理すべきです。国民全体で真摯にこの問題に取り組まなければなりません。

米国では360度見渡す限りの原野が延々と広がる風景を時折目にします。ニューメキシコ州で原油の掘削が随所で行われていました。米国のエネルギー自給率の高さ、国土の広さ、活用の余地が残されている広大な土地と多様な自然環境に圧倒されます。

先日ガソリンを給油したら1ガロン$3.149でした。1リットル約83円。米国のガソリンが日本の半額であることを鑑みると、暮らしに不可欠なエネルギー価格の安さに、歴然とした国力の違いを感じます。反面、日本のエネルギーセキュリティーの脆弱性を危惧せずにはいられません。

安全・安心な暮らしを保ちつつ、国際的経済力と国力を維持するにはどう歩を進めるべきか、30年、50年先の日本の有り方を米国から見つめ考えていきたいと思います。

(2014年2月末)

ページトップへ