私はこう思う!

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災害から考える

星子 邦子氏 kuniko hoshiko
消費生活コンサルタント/NPO法人ワークショップ「いふ」代表

震度7の大きな揺れと共に、二階建ての屋根瓦と剥がれた壁が庭に降り注ぎ、電気も切れてそこら中が真っ暗となった。2016年4月の熊本地震である。家に一人で居た私は、とにかく庭先にある駐車場の車の中に身を寄せ、ご近所の声を聴くことにした。東の空が明るくなる頃、小学校の校庭が避難場所になっていることや、近隣の家にも大きな被害が出ていることが分かった。あれから一年。我が家の周囲を取り巻く八軒の家は姿を消し「更地」になってしまった。ポツ~ンと一軒だけ残った我が家。屋根と壁を修理し、玄関扉を新しくして外観だけはまともになったが、座敷とリビングのサッシが開かない、内壁の大きなひび割れもそのまま・・・と、悲惨な状態だ。自然の力の大きさを改めて思い知らされた。

地震直後は、電気が点かない・・・ガスが使えない・・・電話が通じない・・・水が出ない・・・と、使えて当たり前の「生活用エネルギー」がことごとくアウト。庭でバーベキューする時のために準備していたLPGのボンベとコンロの存在が心強かった。

あれから一年、当時の経験を踏まえ玄関には今も24ℓの水が入ったポリ容器を置き、台所には飲料用の1.2ℓ入りボトルを2ケース確保している。

近代化・文明化した私たちの暮らし。何の不自由もなく文明の恩恵を受けているが、ひとつ間違うと、昔の不便な暮らしに逆戻りしなければならないことを、どれ程自覚しているか・・・。自然の力に勝つことのできない私達だからこそ、危機管理が重要だと考える。役場が、国がどうにかしてくれる・・・筈もなく、高齢化が進む地域の現状を再確認し、いざという時に備えて日々の生活を再検討する必要性を強く考える昨今である。

(2017年6月末)

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