私はこう思う!

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エネルギー基地、六ヶ所村の今と原子力

高松 美恵子氏 mieko takamatsu
元「新聞女性ジャーナル社」代表取締役

ある委員会で同席した九大教授が「節電をすれば原子力はいりません」と言われた。その言葉の根拠には首を傾げたが、九州地域では「原子力発電は発電電力量の約4割。我が家の電気使用量を4割減らすとしたらどんな生活になるのだろう」と考えた。昔から使わない部屋の電気は消し、冷蔵庫の扉の開閉にも節電を心がけている。さらにその他にも出来る限りの節電に努めたが、街の中心部にある15階建ての、箱を組み立てたような一角にある住居は、真夏になれば上下左右の室のクーラーから吐き出される熱風と幹線道路から舞い上がる車の排気ガスと砂ぼこりを防ぐために締め切らざるを得ず、部屋のクーラーは止められない。

また、仕事から帰宅すれば、冷暖房と家事に契約容量30アンペアをフルに使って、他で節電に努めても節電は12%までがやっと。原子力発電を廃止する生活をしなければとなったら、例えば我が家の場合、同じ時間電気を使用するとすれば、契約容量を10アンペアにするしかないと悟った。10アンペアにすれば炊飯器を使うときクーラーはつけられない。クーラーの電源を入れたら電子レンジは使えない。二つを同時に使うと電源が切れるから強制的に原子力による発電量相当の節電に繋がるという、実生活とはほど遠い結論を得ただけだった。

「原子力発電の再稼動即時ゼロ。自然エネルギーの大幅導入」と声を上げるのは易しい。しかし、総電力量のわずか2%位という自然エネルギーと化石燃料による発電で、震災前まで九州地域で約4割を占めていた原子力を補うエネルギーを生み出すことはすぐには難しい。それが可能になるまでの間、原子力全廃で、日本の経済、産業そして国民の生活はどんなことを強いられるようになるか考えると怖い。「節電している」という言葉はあるけれど、家庭で実際に30%くらいでも減らしている人がどれほどいることか。

2年前、自然から弱点を突かれ身に沁みて不備を悟らされた福島の事故。それは、日本だけが受けた貴重な教訓だった。その教えに謙虚である限り、資源を持たない日本に必要なエネルギーを担える原子力が、日本を明るくしてくれるものになるはずと私は思う。

(2013 年7 月末)

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