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浜岡原子力発電所に行って来た

芦野 英子氏 eiko ashino
エッセイスト

浜岡原子力発電所に行って来ました。

福島第一のような事故を起こさないように、地震に耐え、津波の浸入を防ぐ。これから予想される南海トラフ巨大地震に備える対策を第一に、改造改修工事を施し、ほぼ完成に近い状態までの所を見せてもらった。

御前崎の海岸地帯は砂浜で、海亀の産卵地でもあるため発電所敷地西側、東側に盛土の設置をし、敷地全体の津波対策として防波壁を施した。地下岩盤に深く基礎を打ちこみ、海抜22mの防波壁である。これは圧巻であった。内部的にも多くの防御策が施されているが、非常用電源に備えて軽油を地下に用意するなどの工事がされていた。

格納容器の破損を防ぐ、冷やす、止めるを原則に三つの注水系の設置や、放射性物質の放出を抑制するフィルタベント設備など説明してもらった。それにしても、何より大切なのは、人間の初動操作だと思う。そのための職員の技術、知識、行動など徹底した修得を望みたい。私が最初に浜岡を訪れたのは1990年であった。28年も経つと、私の風貌も全く別人のようで、当時の写真を見てため息をついている。あの時、早朝海辺のざわめきに目を覚まし、浜に出て、海亀の産卵を見た。卵は近くの小学校に運ばれ大切に見守られるとのことであったが、今は立派に小屋が建てられていた。

中部電力は改造改修工事に約4,000億円を投じたそうである。それがいまなお再稼働出来ずにいる。昨年研修見学した川内原子力発電所も同じく、たとえば机上のパソコンや床に面したあらゆる設置物は頑丈に固定され、揺れに対応していた。

資源の少ない日本で、不安定な自然エネルギー、降水量の少ない水力発電所(此の度の静岡県の各河川にも水は少なかった)。この辺りでもう一度原子力発電を見直すことが大切だと思った。昨今の天候不順も地球温暖化に一つの要因があると思うと尚更の事だと考えている。

(2018年7月)

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