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中学生サミット-核のゴミについて知る責任

浅野 智恵美氏 chiemi asano
NACS消費生活研究所主任研究員/環境カウンセラー

電気のゴミ(高レベル放射性廃棄物)をテーマとした「中学生サミット2018~どうする!? 核のゴミ」が、昨年12月に青森、東京で開かれた。佐賀、島根、京都、愛知、神奈川、東京、新潟、福島など全国から中学生20名、高校生10名が参加した。当事業のサポートを2017年から担当している。

学生たちは六ケ所原燃PRセンター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理施設などを見学した後、六ヶ所村住民と意見交換の場を持った。東京国際交流館では「最終処分地問題をどう考えるか」をテーマに、全員がマイクを持って発言し、活発な議論を行った。

文部科学省では、グローバル人材育成の観点から国際バカロレア(IB:International Baccalaureate) の普及・拡大を推進している。ファシリテーターを担当した高校生には、IBコースで学ぶ生徒もいた。「フルーツバスケット」のゲーム性を取り入れ、地域ごとに固まっていた中高生を瞬時にシャッフルした。難しいテーマであったが、自分の考えを素直に述べ合い、アクティブラーニングになっていた。中立の立場で進行した素晴らしいファシリテーションに脱帽したと同時に、学生ファシリテーターの養成は重要と感じた。

中学生サミットでは「地層処分事業を知っていますか?」との問いに、多くの学生が「いいえ」と回答した。原子力発電所が立地しない地域の学生は、高レベル放射性廃棄物の言葉を初めて聞いたと正直に話していた。神奈川に住む中学1年生の男子は「核のゴミについて知る責任」と題し、新聞のオピニオン欄に自らの考えを投稿した。「自分が使う電気の源について知るべき。地層処分をする場所は決まっていない。だからこそ、よく知ることが最低限の責任だと思う」と述べている。

授業では、「自らの考えを書くこと」「自らの考えを基に話し合うこと」が大切とされている。しかし、2017年告示の次期中学校学習指導要領に、「高レベル放射性廃棄物」「地層処分」の用語は出てこない。このような国民的な課題を教育の場で学ぶ必要があると考える。次世代を担う子どもたちにこそ、自分事として学んで欲しい。
未来の決断が目の前に来ている。若い世代の議論の深まりと、発展を期待している。

(2019年1月末)

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