私はこう思う!

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北の大地に軸足を置いて

上村 正子氏 masako kamimura
帯広大谷短期大学非常勤講師

町や村を訪ね歩いて役場の事業とタイアップしながら小さな学習会を続けている。自然に恵まれた北海道十勝では、地球温暖化の問題や、環境破壊の話をしても危機感が乏しい。なんとなく盛り上がりに欠ける学習会になってしまう。
しかし、話題をエネルギーの問題に変えると、参加者の真剣度が違ってくる。生活直結の問題になる。特に今の季節は地域柄「今年の冬の暖房費はどうなるか」の一点に話題は集中する。

息子夫婦は、オール電化の住宅に入居して快適な冬の暮らしを楽しんでいたが、昨年の電気料金値上げには苦しんだ。「一か月の電気代が5万円を超えた。予算オーバーで給料だけでは払いきれず、ボーナスで補てんした」と言う。 来年、電力の小売り全面自由化がスタートするが、これから先、私たちのくらしはどうなるのだろう。 資源を大切にして無駄を省いたくらし方をもう一度考え直したいと思う。

10月、北海道の平野にも初雪が降った。長い長い冬が始まる。来年6月末まで、暖房なしではくらせない。暖かい地域に住む人には想像できないかもしれないが、一年12か月のうち9か月は暖房機のお世話になる。
それでも私は、この北の大地が大好きだ。寒さは日本一、そして何よりも自然に恵まれたくらしがある。この土地に住める幸せを感じている。

人口2,500人の町では、学習会を企画しても思うように人が集まらない。同じような悩みを抱えている役場事業と手を組んで、これからも小さな学習会を続けていきたい。
今年9月に実施したエネルギー学習会には、19才の短大生から86才の現役シルバーまで幅広い世代が集まった。家畜のふん尿を利用したバイオガスプラントを見学後は、意見交換もできた。

再生可能エネルギーの利用・省エネを意識したくらしの知恵、そして原子力発電の問題にまで話題は広がった。人それぞれの生き方・くらし方があり、問題のとらえ方もさまざまだった。小さな学習会を積み重ねて、少しずつ仲間の輪を広げていきたい。

(2015年10月末)

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