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南国の自然に囲まれた地熱発電所

秋庭 悦子氏 etsuko akiba
NPO法人あすかエネルギーフォーラム理事長

エネルギー自給率がたった9.6%の日本において、国産エネルギー資源は貴重ですが、地熱はアメリカ、インドネシアについで世界第3位の資源量です。地熱発電は開発コストや厳しい環境アセスなど課題がありますが、太陽光や風力のように天候や時間帯などに左右されず24時間安定的に発電が可能であり、今、ベースロード電源の1つとして注目されています。

鹿児島県指宿市にある九州電力山川地熱発電所の見学に行ってきました。地熱発電所というと大分県の八丁原や岩手県松川発電所のように山の中に立地しているものと思い込んでいましたが山川地熱発電所はなんと海抜43mという全国的にも珍しい低地にありました。周囲は緑の田畑、目の前には青い海が広がり、美しい開聞岳がくっきりと見えるという素晴らしい眺望の地域に位置しています。1995年に運転開始し、出力は3万kW、年間の発電量は約2億3,700万kWh、地下2,100mの蒸気井から毎時225tの蒸気を取り出しています。また、構内には2018年に運転開始した山川バイナリー発電所も立地しており、地熱発電で使った蒸気を再度利用して発電しています。

発電所からの蒸気はハウス栽培にも利用されているとのこと、地域との共生に大いに役立っていると伺いました。ご説明下さった山下所長さんは、「当初は必ずしも地域のご理解があったわけではなかったのですが、丁寧にご説明して信頼関係を築きました。また、発電所からの蒸気をこの地域で力を入れている胡蝶蘭のハウス栽培に利用していただき、大変喜んでいただけるようになりました」と笑顔でお話し下さいました。山川地熱発電所の入口には、地域の方から感謝を込めて贈られた素晴らしいピンクの胡蝶蘭が飾られていました。

そして、山川地熱発電所見学をぜひ、お勧めしたい理由は、何と言ってもすぐ目の前に「砂むし温泉」と「たまて箱温泉」があることです。砂に埋まってマッタリと温まり、露天風呂で海を眺め、湯上りには特産の「かつおのたたき」で冷たいビールを飲めば最高!
地熱発電ってなかなかいいなと思った一日でした。

(2019年7月)

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