私はこう思う!

INDEX

電気料金をチェックして考えたこと

中村 浩美氏 hiromi nakamura
科学ジャーナリスト/ 航空評論家

電気料金をチェックしながら、エネルギーについて考えてみた。モデルのNさんは、富士北麓の集合住宅に居住。東京電力エナジーパートナーの、スマートライフプランを契約。オール電化なので、ガスも灯油も使っていない。エネルギーは電気に全面依存だ。山梨県の高原の町だから夏の冷房は不要で、クーラーも扇風機も使わない。逆に冬は暖房が欠かせない。エネルギー消費は冬季が最大だ。そこで最新の1月の電気料金(12月20日~1月17日)をチェック。使用電力量と請求金額は、個人情報なので一応伏せておく。

請求金額には、使用料金、消費税以外に、需要者負担がいろいろあることが分かる。まずは接続送電サービス利用料(託送料金相当額)。これには法律で定められた使用済燃料再処理等既発電費相当額と、電源開発促進税を含む。託送料金平均単価は東京電力エリアでは9.43円で、使用済燃料再処理が0.11円、促進税が0.41円という内訳だ。計算してみると託送料金相当額は、電気料金の34.4%になる。2020年度以降は、これらに賠償負担金、廃炉円滑化負担金が加わり、やはり私たち需要者から徴収される。原子力発電関係の負担が増えるが、これまでもこれからも基幹電源として機能する原子力発電について、相応の負担をするのは当然のことだから、これは理解しなければならない。しかしながら、原子力の今後が不透明なのが気になる。エネルギー基本計画にも、将来像の明示がない。再稼働の推進、新増設に言及がないのだ。

請求金額には再生可能エネルギー発電促進賦課金が含まれる。注目すべきはこれだ。単価が2.95円で電気料金の10.9%の金額になる。燃料費調整額よりも多い。燃料費が下がった分よりも賦課金のほうが多いのだ。2019年度の再エネ買取費用総額は3.6兆円、賦課金総額は2.4兆円。今後再エネ比率が上がれば、固定価格買取制度の見直しで買取単価が下がっても、賦課金は増大する。固定価格買取制度による国民負担が大きすぎないだろうか。制度の見直しが急務と思える。

原子力発電、再生可能エネルギーともにゼロエミッション電源だから、これからその重要性はますます高まるわけだけれど、国の政策が再エネに偏っている感は否めない。

(2020年2月末)

ページトップへ