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自分ごと化会議in松江~原子発を自分ごと化する~に参加して

石原 孝子氏 takako ishihara
松江エネルギー研究会代表

全国で唯一、県庁所在地にある中国電力島根原子力発電所は、市の中心部から10キロ圏内にある。その原子力発電所の在り方を巡り、全国初の主催者が市民団体で、市の有権者名簿から選んだ約2,000人に参加呼掛けの手紙を送付し、20代から70代の経営者や主婦など様々な職種の男女21人と、島根大学生合計26人が参加し「自分ごと化会議in松江~原発を自分ごと化する~」が開催され、推進派としてプレゼンをする役を仰せつかった。

原子力発電の問題は松江市民の立場からすると「他人事」。県や電力会社、規制庁の国の住民説明会では、参加者は反対派が多く、素朴な住民の声はかき消されて、一部の市民との平行線で終始し、これまで市民目線で語られることが無く、参加者の大半が原子力発電所の施設見学も無く、原子力発電所の情報も入らず、素朴な不安を持ち続けた状態であった。だから私自身もエネルギー問題や地球温暖化、省エネ問題は口にしても、声を大にして原子力発電の問題を語ることは極力避けていた。

反対派の雄弁な論客2名に対して、島根原子力発電所副所長と、市民代表の推進派として参加した私だが、説明しても思いが空回りして上手く伝えることが出来ない。市民目線で原子力発電の問題を伝えることの難しさを思い知らされた瞬間だった。悶々とした日々を過ごし、再起を懸け2回目では要点を絞り「地元経済への影響」からの原子力発電を伝えた。

会を重ねるごとに参加者の意識変化が現れ、一面で捉えていた問題も、縦、横、斜め、時間軸を経て、「原子力発電所は必要ない」と言っていた人が「頭を抱えています」と語り、正に「自分ごと化」して行った。「自分ごと化会議」は構想日本が全国で手掛け、今回もコーディネーターの力によるものだが、参加者、関係者も「他人事」から「自分ごと」の論議を重ね、納得できる会議となり素晴らしい9つの提案が出され、無事に終了した。

(2019年7月)

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